<オープン戦:ロッテ1-2広島>◇16日◇ZOZOマリン

ロッテのドラフト1位松川虎生捕手(18=市和歌山)が25日のシーズン開幕戦・楽天戦(楽天生命パーク)でのスタメンマスクを勝ち取った。井口資仁監督(47)が16日、方針を明かした。高卒新人捕手が開幕マスクをかぶれば、プロ野球史上でも3人目の快挙。1軍でも通用し続ける技術に、開幕投手を務める石川歩投手(33)がうなるセンス、さらに18歳とは思えない「包容力」で頂点への第1歩を任される。

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開幕投手石川とドラ1松川が、2試合続けてバッテリーを組んだ。井口監督は広島とのオープン戦後、事もなげに口にした。「しっかりと組めてると思いますし、次回はもう開幕ですから、そのバッテリーでいくんじゃないですかね」。

高校卒業式から15日、吉報を伝え聞いた松川も、堂々としたものだ。

「開幕1軍、開幕スタメンは目標にやってますし、そこでしっかりチームを勝たせないとまだまだだと思いますので、捕手としてしっかりやるべきことをやってチームに貢献できたらいいなと思っています」

動じないが頑固ではない。「あぁ、もう問題なくやれてると思います」。独特のペースを持つ石川にも、はっきり言わせた。試合前に綿密な打ち合わせがあったわけではないのに、カチッとはまった。

イニング前のボール回しを終え、石川はマウンド横で一塁手からボールを受け取る。腰を何度かひねり、屈伸の動きもする。大切なルーティン、大事な時間。松川は立ったまま、それを眺めること10秒。石川がようやくマウンドへ歩くと、松川は腰を落とす。

焦らせないし焦らない。マウンド上でさらに関節の動きを確認し、再び10秒間。ベテランが顔を上げたと同時にサインを出す。5回先頭の広島末包に107キロの緩いカーブから入った。石川は「僕もあれ、初球カーブほしいなって思ってたので」と驚いた。

他の球種とは力感が異なるカーブ。投げたいタイミングは全ては一致しないが「そこは松川のセンスじゃないっすか」と認める。「田村に近い感じのリードをしてくれる」と経験豊富な男を重ねた。イニング後、近寄る18歳を手で制すること3、4回。“問題なし”のジェスチャーが出れば、松川も深追いはしない。絶妙な距離感。包み込むように、すっぽりと収まった。【金子真仁】