オリックス山本由伸投手(23)が球団タイ記録の17連勝を飾った。7回5安打無失点で日本ハムをねじ伏せ2勝目。足立光宏が阪急時代の70~71年に作った記録に51年ぶりに並んだ。

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2-0の7回2死二、三塁。一打同点のピンチで代打宇佐見に4球連続で直球勝負した。最後の108球目はこの日最速156キロで空振り。左打者の内角に食い込ませ、まともにスイングさせなかった。「とにかく走者をかえさないように。若月さんの配球に任せて投げました」。余力十分の様子で振り返った。

昨年5月から続く不敗ロード。17連勝中は19試合に先発して全て6回以上、2失点以内という驚異の安定感を誇る。「ローテーションをずっと経験させてもらって、1週間の過ごし方や調整方法をたくさん得られた。それをうまく整理して。やることが明確になっている」と大崩れしない理由を明かした。

昨年沢村賞に輝き日本を代表するエースになった今、最も大事にするのは意外にもキャッチボールだ。他の投手が2~3球投げる間に山本は1球ほどのペース。とことん自らの体と向き合う。「丁寧に確認して投げたい。下半身から上半身に、うまく力が伝わるのを1球ずつ知っていきたいんです」と説明した。

フォームを突き詰めてきたことが、修正力にもつながる。調子の悪い球種があっても、イニング間に調整。ベンチで話す若月に「次の回までに直すので普通にサインを出してください」と言うこともある。

球団記録に並んだことは知らなかった。「うれしいです。一気に二十何連勝までいくことはないので、とにかく1つずつ。1日1日を大切に頑張ります」。日本記録は楽天田中将の28連勝。山本の挑戦はまだまだ続く。【柏原誠】

○…51年前の記録に並ばれた元阪急足立光宏氏(82)が山本をほめたたえた。「自分で言うのもおかしいけど、すごい記録。立派です。負けないのは大変なこと。自分が抑えても打撃や守備、相手投手との兼ね合いと、いろいろあるんだから」。同氏の記録は70~71年。肩の故障があったが連勝記録から再び白星を伸ばし通算187勝。下手投げでタイプの違う山本の印象は「体が大きくないのにスピードもキレもあって、いい投手」と語った。「まだ上がいる。田中君の記録を目指してほしい。何よりケガしないで頑張ってほしいね」と後輩に温かい視線を向けた。

▼山本が昨年5月28日ヤクルト戦から17連勝。シーズンをまたいだケースを含む17連勝以上は、12~13年に28連勝した田中(楽天)以来でプロ野球8人目。オリックスでは阪急時代の70~71年足立に並ぶ球団タイ記録となった。連勝中の山本はすべて先発し、失点が2点以下。途中に救援勝利を挟まずにオール先発勝利で17連勝は田中に次いで2人目だが、オール2失点以下の17連勝は初めてだ。

◆阪急足立の17連勝 右下手投げで通算187勝を挙げた足立は、70年8月11日の近鉄戦から71年6月17日の近鉄戦まで2年越しで17連勝した。この間、18試合に先発し13勝をマークしたほか、救援でも16試合に登板、4勝を挙げている。

◆足立光宏(あだち・みつひろ)1940年(昭15)3月10日、大阪府生まれ。西高(大阪)から社会人の大阪大丸を経て、59年に阪急入団。62年5月24日の南海(現ソフトバンク)戦で1試合17奪三振のプロ野球記録(当時)を樹立。67年には防御率1・75で最優秀防御率のタイトルを獲得し、最優秀選手、ベストナインにも選ばれた。69年日本シリーズ優秀選手賞を受賞。80年に引退。阪急一筋実働21年で通算187勝153敗3セーブ。日本シリーズ通算26試合登板は2位タイ、先発19試合は史上最多。引退後は阪急2軍投手コーチ、阪急、オリックススカウト、関学大コーチなどを務めた。