日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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新千歳空港から列車に揺られていると、日本ハムの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」が見えてくる。23年春の開業まで1年を切った工事進捗(しんちょく)率は約70%らしい。

札幌開幕に足を運んだ3月下旬は春の訪れにはまだ遠く、残雪をかぶっていたが、全体像は鮮明に感じることができた。北の大地らしい雄大さ、粉雪のかかったスイーツのような美しい姿に熱くなった。

プロ野球経営の安定化に「球団」と「球場」の一体化が指摘され始めたのは、03年に起きた球界再編が潮目と認識している。巨人の傘のもとに依存した各球団は独立採算の“自立”が求められるようになった。

日本ハムが使用する札幌ドームは、札幌市の第3セクター「株式会社札幌ドーム」が運営。広告、グッズ販売の物販、飲食収入が入る仕組みで、日本ハムは毎年、総額約20億円を吸い上げられてきた。

例えば阪神の本拠甲子園球場は、親会社の阪神電鉄が所有・管理しているので阪神グループによる「自前」のハコモノ。球団、球場が別経営だった巨人、DeNAらも一体化に踏み切っている。

日本ハムは札幌ドームにリース料の値下げを要求したが受け入れられず、逆に値上げを提示された。札幌からプロ野球チームが流出することで、ドームはたちまち“負の遺産”になりかねない。札幌ドームで最後になる開幕戦を見ながら、近鉄バファローズの本拠で、大阪市の第3セクター「大阪シティドーム」が運営した大阪ドーム(現京セラドーム大阪)が経営破綻状態に追い込まれた当時を思い出していた。

試合前の直前には、監督の新庄剛志とばったり出会って、お互いが右手を差し出した。まさか、空飛ぶドローンに乗って現れるとは思わなかったし、記者生活のなかでもっとも派手な開幕セレモニーだった。

新天地の北広島移転を1年後に控えたチームは、ボールパーク構想の実現で生まれ変わろうとしている。新球場の開場に向かうチームにとって、今年は収益力アップの足がかりになる大切なシーズンだ。

3年ぶりに入場者制限なしで迎えた開幕戦でファンが拍手を送る光景を見て、安堵(あんど)した。コロナ禍に邪魔され続けたどの球団も、エンターテインメントの真価を問われるのはここからだ。(敬称略)