京大が昨秋王者の関大を破り、2勝1敗で19年秋以来3年ぶりに勝ち点を得た。開幕節では02年秋以来、関大からは82年秋以来40年ぶりの勝ち点獲得となった。殊勲は異色の「二刀流」愛沢祐亮捕手(4年=宇都宮)で、リーグ戦初登板で4回2安打無失点と好投。5回以降はマスクをかぶり2投手をリード、打撃でも3安打1打点と活躍した。

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正捕手の愛沢が先発マウンドに立っていた。宇都宮高では右下手投げの投手。リーグ戦初登板で直球とカーブを操り、関大打線を4回まで2安打無失点と翻弄(ほんろう)した。

今春の練習試合で数試合に先発したが、結果を伝える京大野球部ホームページなどに名前を出さず、投手転向の情報を極秘にしていた。関大と1勝1敗で迎えた第3戦。先発を伝えられ、喜び勇んだ。「隠し玉というか…。登板は『来たか』と。寝耳に水ではなかったので、準備はしていました。大学で心残りがなくもなかったので、ようやく時が来た。うれしかった」。 京大入部時は二塁手。2年春は中堅手。3年春から正捕手を務める。二刀流は今年1月から。球の回転数や回転軸などを測る機器「ラプソード」でスピードガンコンテストを行うと、上手投げで136キロを計測。球筋の良さを認めた元ソフトバンクの近田怜王監督(31)が、投手陣に厚みを持たすため掛け持ちを打診したところ、「試合では下から投げます」と快諾した。

打者の目先を変える愛沢の起用について、近田監督は「もともと投手能力が高い。(学生コーチの)三原の判断。2戦目を考えていたが、投手の数が少なくなる3戦目にしっかりプランを立ててくれた。彼の意見を尊重した」と明かした。

5回からはマスクをかぶり歴史的な勝ち点1へ導いた。3戦フル出場で、バットでも貢献。指揮官は「選手の力を最大限に生かすことができた。スタッフを含めて全員一丸となった成果。いいスタートが切れた」。奇襲成功の京大が台風の目になりそうだ。

◆愛沢祐亮(あいざわ・ゆうすけ)2001年(平13)1月9日生まれ、栃木県宇都宮市出身。宇都宮では2年から投手。京大では二塁手、中堅手を経て3年春から正捕手。アンダースローでの最速は128キロ。文学部で在籍し、卒業後も野球を続けることを希望。好きな女優は新垣結衣。座右の銘は「負けは今の力の認識であっても弱さの証明ではない」。169センチ、75キロ。右投げ左打ち。