得意のG切りだ。先発九里亜蓮投手(30)が7回1失点、粘りの投球でチームの連敗を止めた。リーグ最多本塁打の強力打線を相手に、丁寧な投球を貫いた。球数を要した立ち上がりから徐々に感覚を上げながら、7回まで116球を投げ切った。巨人の連勝を止め、再びチームを勢いづかせた。

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球数が100球を超えても、託された7回のマウンドだった。1死一、二塁のピンチを迎えても、九里は首脳陣の思いを球に込めた。「逃げるんじゃなく、しっかりと勝負する気持ちを持って投げられた」。4番岡本和にシュートで内角をえぐって詰まらせ、三併殺。7回途中で降板となった前回とは違い、7回を投げ抜き最少失点でしのいだ。

リーグ最多本塁打の打線への警戒から、1回だけで30球を要した。「どんどんストライク先行でいければ良かったんですけど、それが出来ていなかった。自分が思っているところよりズレている球もあったし、思っている通りに投げられていた球もあった」。7回まで3者凡退は5回の1度のみ。走者を背負いながらも、緩急を交えつつ、根気強く球を両サイドに投げ分けながら低めに集めた。

見た目には分からない新フォームは、まだ手探り状態にある。リリースの位置を高くするため、オフに歩幅を昨季から約1足分縮め、6足分程度に矯正。新フォームのため、筋トレの重量を上げ、ピラティスも始めた。リリース後の腕を振りを大きくするため、テニスラケットを用いたトレーニングも取り入れた。

シーズンに入っても、今季からマツダスタジアムに導入された「ホークアイ」を利用、出された今季初登板の数値を参考にし、変化球のリリース位置を修正。まだ試行錯誤ながら、昨季4勝2敗の巨人打線を昨季とは違う角度で抑えた。

佐々岡監督が重要視する“火曜日の男”。それを託された新投手主将が、連勝中だった巨人の勢いを止め、連敗中だった広島をよみがえらせた。「(7回まで)投げ切れたのは良かったですけど、反省点も多い。いいところは継続しながら、悪いところはしっかり反省して、次の試合に備えられれば」。白星とともに信頼を積み重ねていくためにも、今季初勝利は始まりに過ぎない。【前原淳】

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