無敵のエースが球団新記録を打ち立てた。オリックス山本由伸投手(23)がロッテ打線を相手に7回9安打2失点の粘投を見せ、今季3勝目をマーク。

強風が吹き荒れる敵地で制球が定まらず、自己ワーストの6四死球を与えるも、球団新記録となるレギュラーシーズン18連勝。チームがコロナ禍に苦しむ中、エースの意地で連敗を2で止めた。今季初の登板間隔中6日で122球を投じた背番号18が、チームを建て直した。

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一瞬、冷や汗をかいた。初回1死満塁のピンチ。山本はロッテ・マーティンに149キロフォークを捉えられ、大飛球を打たれた。滞空時間の長い打球を追う右翼・杉本がフェンスに張り付くと、秒速13メートルの強風に押し戻され、グラブへ。右犠飛となり今季16イニング目で初失点も、グランドスラムは回避した。

「内容としては最悪です。野手の方に守って頂き、本当に助けてもらいました。風も、調子自体もイマイチつかみきれず…。工夫しながら投げました」

制球が思うように定まらず、自己ワーストの6与四死球。それでも今季最多122球を投じる粘投で、7回9安打2失点。今季3勝目をつかんだ。球団新記録となるレギュラーシーズン18連勝に「今日みたいな1勝もある。野手に助けてもらって全員で勝ち取っている勝利は、うれしさがあります」とニッコリだ。

中嶋監督が1軍の指揮官に就任した20年オフは「最初…。マジで怖い人だなという印象でした。だって(怖い)雰囲気が出てるし(笑い)。ヤバいなぁ、これは…って感じでしたね」と内心、ビビっていた。

だが、無邪気で怖いもの知らずの性格が功を奏した。「時間がたてば全然印象が違った。すごく選手思いだし、めっちゃチームのことを考えてくれている。それに、めちゃくちゃ面白いし、イメージと真逆でした」。ピーマンは食わず嫌いで避けるが、鉄仮面の指揮官には素朴な心でぶつかった。最初は見えなかった監督の優しさ、真意を理解。“攻略”に成功した。

中嶋監督はこの日の投球に「いつもならあり得ない数(6)の四死球。それでも粘って投げてくれた」と連敗を止めた背番号18をねぎらった。主力にコロナ感染者が出てチームは重苦しい雰囲気だったが、山本は「勝つために全力でやっています」とキッパリ。エースの快投が、暗雲をも吹き飛ばした。【真柴健】

▼山本が昨年5月28日ヤクルト戦から18連勝。シーズンをまたいだケースを含む18連勝以上は12~13年田中(楽天)の28連勝以来7人目で、オリックスでは70~71年足立の17連勝を抜く新記録。山本はすべて先発で記録し、オール先発白星の18連勝は田中に次いで2人目だ。この日は9安打されたが、得点圏では無安打。これで今季の得点圏は13打数0安打となり、まだ安打を許していない。18連勝中の得点圏被打率が9分4厘(85打数8安打)と、山本がピンチに強い投球で連勝を伸ばしている。