DeNA上茶谷大河投手(25)が今季初の「マダックス」を達成した。

8回終わって85球。ヤクルト打線の3番から始まる9回、新球シュートと逆軌道で封じる。山田を右飛、村上を中飛、浜田を左飛といずれもカットボールで、わずか6球で3者凡退。91球5安打無四球無失点で100球以下の完封劇「マダックス」を演じ「キャンプの成果が出たと思う」と自身2年ぶり3度目の完封で快挙を達成。チームでは12年9月7日広島戦の国吉(現ロッテ)以来10年ぶりとなった。

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3連敗で迎えた中14日で先発。ゾーンでの勝負に挑んだ。キャンプで習得したシュートでリズムよく打ち取る。打者32人に初球ストライク率は78%、2球以内では100%を誇り「バッターが今日は特に振ってくる中で取れたのは大きかった」。開幕ローテーションから外れるも、東の登録抹消で1日ヤクルト戦で今季初先発初勝利。その後ブルペン待機予定だったが、コロナ禍での石田と浜口の離脱で、再び巡ってきた先発機会に結果で応えた。

自身を貫いたマウンドさばきから一転して、打席では変貌を遂げる。打撃フォームをマネて、巨人坂本になりきり2回の第1打席では中前へ。「1番打っている人。ヒットは全部坂本さんのフォーム。レパートリーは現役選手の8割くらいはいけると思う」。1日の試合ではヤクルト山田になりきってバットを握った。

自身2連勝でチームの本拠地初勝利に導き、連敗を3でストップ。お立ち台ではヒーロー賞のマグロのフィギュアを抱いた。その姿に三浦監督は上茶谷への評価を、うなぎ上りならぬ「今日はマグロ上り」と口もなめらか。上茶谷は「1つ1つ積み重ねるだけ。しっかり準備します」と泳ぎ続けるマグロのごとく上昇気流に乗せる。【栗田成芳】

◆マダックス 100球未満での完封を、メジャーでは「マダックス」と呼ぶ。08年に引退するまで、カブス、ブレーブスなどで通算355勝を挙げた技巧派右腕グレッグ・マダックスは13度、達成した。日本で今季の達成は上茶谷が初めて。昨季は3人(ヤクルト小川、楽天早川、阪神高橋)が1度ずつ達成したが、現役選手で通算でも複数回達成した投手は、まだいない。