駒大が青学大に競り勝ち、先勝した。

50メートル走6秒0。遠投110メートル。俊足強肩の今秋ドラフト候補・林琢真内野手(4年=東邦)が、バットでみせた。

4-4で迎えた9回2死一、二塁。緊迫した場面だが、気持ちは冷静だった。「なぜか分からないんですけど、絶対自分に(好機で回って)くると。気持ちの面でいい準備が出来ていました」。

左打者の林は右手でバットを構え、左手で2度胸をたたき、自らを鼓舞した。フルカウントの9球目、変化球を右前へ運び、勝ち越し。「今振り返ってもあの打席は一瞬でした。いい意味で無意識にボールに入っていけました」と、笑顔で振り返った。

気持ちの変化が打たせた一打だった。1年春から試合に出場している林だが、3年秋までの打率は2割9厘。思うような結果を残せなかった。「成績じゃなくて、姿でチームを引っ張っていく。これをテーマに4年生をスタートさせました」。打てなくても、下を向くことはなかった。

その人柄は大倉孝一監督(59)も認めている。「元々真摯(しんし)に取り組む選手ですから。(エースの)福山を含めてチームの中心として、野球に取り組む姿勢が求心力になる。それが4年になってより強くなったということですよね」。

これでチームは3連勝。7季ぶりの優勝に向け、主軸がチームを引っ張っていく。

◆林琢真(はやし・たくま)2000年(平12)8月24日生まれ、愛知県東郷町出身。愛知瀬戸ボーイズから東邦に入学。身長172センチ、体重74キロ。目標とする選手はイチロー。好きな有名人は歌手のmilet。右投げ左打ち。