飢えた虎になれ-。西武、巨人、オリックスで通算525本塁打の清原和博氏(54)がカンテレの生中継で阪神-DeNA戦(横浜)を今年初めて解説した。延長10回までゼロ行進が続いた打線に、攻めの姿勢や開き直りなど熱く助言を送った。矢野阪神は延長10回にサヨナラ被弾で、開幕から敵地11連敗。首位巨人に11・5ゲーム差となり、最短で29日に自力優勝の可能性が消滅する。今こそ、なりふり構わずに戦え!

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痛恨のサヨナラ被弾で、開幕から敵地で11連敗の悪夢だ。選手にも聞こえそうなバックネット裏からの大声の“エール”は、結果に結びつかなかった。今年初めて解説席に座った清原氏は、歴史的低迷に沈む阪神の逆襲を心から願っていた。阪神にFA移籍の可能性もあった関西のレジェンド。直接の縁はいまだにないが、昨年7月、甲子園での巨人戦に続く生解説だった。「僕の父親が大ファンで、親友も大ファン。電話で話したらボヤキが止まらない。解説しながらめちゃくちゃ応援しています」。虎党の思いを代表するように、金言を送り続けた。

この夜も10個並んだ「0」が、むなしい。清原氏はプレーボール直後から野手陣に対して「攻め」の姿勢を求めていた。

「振っていくことが大事なんです。打者は(投手に対して)受け身なんですが、攻めていかないといけない。打線全体に、球種で迷っているというのを感じる。まだ数試合ですけど、勝負をかけるのが遅い。打者有利のカウントでどんどん振っていかないと」。

ベンチが重い。起爆剤がほしい。例として名前を挙げたのは佐藤輝、そして「打撃が大好き。気迫を感じる」という梅野だった。3回先頭で左前打を放つと叫んだ。「ナイスヒット! 打ちましたよ! (気迫が)出ていましたね。タイガースは梅野のように全部の球を打ちにいってほしい。ボール球だったらやめておく。変にヤマを張らないで」。梅野のスタイルを通じて指摘した。

8回2死一、二塁。3番近本はバットを折られる投ゴロに倒れた。天をあおぎ、中堅の守備につくとストレッチするようにしゃがんだ。「心まで折れましたね。バットと一緒に。自分でプレッシャーをかけてしまっている。ある意味、開き直りですよね。何とかせなあかん、よりも、やってやろう! と。相手投手と戦ってほしい。飢えた虎になってほしいですね」。

3勝18敗1分け。まだ4月にして「自力優勝消滅」の可能性を残す。最短のシナリオは4月29日、30試合目だ。もう失うものはない。攻めよう-。清原氏が強調した言葉は、現状をぶち破るキーワードなのかもしれない。【柏原誠】

◆阪神と清原氏 阪神は85年ドラフトで、PL学園在学中の清原氏に入札。6球団競合となり、西武が交渉権を得た。阪神は外れ1位として遠山昭治投手(八代一)を指名。96年オフに清原氏がFA宣言した際には、巨人と激しい獲得競争を展開。3度目の就任となったばかりの阪神吉田義男監督から「タテジマのユニホームを、横じまに変えてもいいというという意気込みだ。ぜひ来てほしい」と前代未聞のラブコールを送られた。一時は清原氏も阪神入りに傾いたとされるが、PL学園時代から志望していた巨人入りを選んだ。

◆清原和博(きよはら・かずひろ)1967年(昭42)8月18日、大阪府生まれ。PL学園では5季連続で甲子園出場、優勝2度。85年ドラフト1位で西武入団。1年目から4番に座り打率3割4厘、31本塁打で新人王。96年オフ、巨人にFA移籍。05年オフにオリックス移籍。08年現役引退。西武と巨人でリーグ優勝10度、日本一8度。通算525本塁打は歴代5位。サヨナラ安打20、サヨナラ本塁打12、196死球、1955三振は歴代最多。通算2338試合、7814打数2122安打、525本塁打、1530打点、打率2割7分2厘。現役時代は188センチ、104キロ。右投げ右打ち。