楽天の“King&Prince”が躍動した。4度の盗塁「王」を誇り、今季チーム内の打撃部門を総なめにしている西川遥輝外野手(30)は、2安打1打点。「王子」の愛称を持つ岸孝之投手(37)は、7回3安打無失点で2勝目を挙げた。前日19日は完封負けを喫したが、一夜明け、絶大な人気を誇る投打の要たちで勝利。負ければ首位陥落の危機を救った。

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いきなり“王”が切り込んだ。1回先頭で西川が打席に立つと、カウント2ストライクから、ポンセの低め137キロチェンジアップを右前に運んだ。一塁走者では、2番鈴木大の2球目に二盗に成功し、今季5盗塁目。二ゴロの間に三塁に進むと、3番浅村の先制2ランで本塁を踏んだ。

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5回無死一塁で迎えた第3打席はフルカウントから内角高めカットボールを振り抜き、適時三塁打。「岸さんへの恩返し第2弾です」。日本ハムから楽天に加入した直後の1月、楽天生命パークで自主練習をしていると、気さくに話しかけてくれた。日ごろから体を気にかけてくれる存在。岸が今季初勝利を挙げた6日西武戦でも1号を放ち、援護をしていた。この日も先輩を援護し「ヒーローをもらったなと思ったんですが…」とポツリ。岸と2度目のお立ち台での共演はかなわなかったが、自身の打撃には手応えをつかんでいた。

前日19日は3打数無安打。「構えがしっくりこなかった」。この日の試合前練習では、肌身離さずバットを抱き、感覚を呼び戻した。体のコンディションごとに、日々スイングの仕方を変えるなど、抜群の修正力で、安定感ある打撃を見せている。

“王子”もマウンド上でクールに打者を切り続けた。岸は「僕は1発をところどころで打たれてしまうので、そこだけはないようにと思って気をつけた」と、コースを突く丁寧な投球を意識した。伸びのある140キロ台中盤の直球で押し続け、2回から5回まではパーフェクト。試合を作った。西川の打率が3割5分2厘に対し、岸の防御率は1・35。安定感のある“キンプリ”がチームを引っ張っている。【湯本勝大】