DeNAネフタリ・ソト内野手に打球の行方を教えてくれたのは、スタンドに詰め掛けたファンの盛り上がる姿だった。

0-0で迎えた延長10回無死、カウント1-2からの高めの直球を強振。右翼ポール際へと描かれた放物線に「いい当たりだと思ったけど、どこにボールがいったか分からなかった」と目を凝らしながら走るソトに、ファンの歓喜がサヨナラの事実を伝えた。

ソト ファンの皆さんの姿を見て、本塁打だと分かったのですごくうれしかったです。

【ニッカン式スコア】20日のDeNA-阪神戦詳細スコア

沸き上がるスタンドを見渡しながら、ダイヤモンドを悠々と回った。自分だけの至極の時間をホームベース付近で待ち構えるチームメートと分かち合った。観客の人数制限が解除された中で迎える初のサヨナラの瞬間。「皆さんの前で野球をすることはうれしく思いますので、本当に気持ちいい瞬間でした」と全身でかみしめた。

チーム一丸で勝ち取った劇的な勝利だった。新型コロナウイルス感染で一時離脱した牧、戸柱、倉本、山下が途中出場を含め1軍昇格即出場。その一方で、好調の宮崎が左太もも裏の炎症で欠場した。「宮崎も一生懸命やった結果のケガだったので、みんな一丸となって、勝ちたいという気持ちだった」。自身も右手首の張りで開幕に出遅れた分、この日は仲間の思いもバットに乗せた。

今季はチームスローガンに「横浜反撃」を掲げ、リベンジを大きなテーマに設定する。チームは連勝を飾って、借金は1。昨季まで8年連続負け越しの阪神を相手に3連勝を決めた。三浦監督は「みんなで粘りながら、最後はソトが決めてくれた。連勝ですし、勢いに乗っていかないといけないです」と天敵からの同一カード3連勝に狙いを定めた。【久保賢吾】

▼DeNAソトが18年9月17日阪神戦(延長10回)19年9月19日広島戦(同11回)に続き3本目のサヨナラ本塁打。3本とも延長戦で放った。DeNAのスコア1-0サヨナラ弾は6本目。延長回では60年4月21日国鉄戦の岩本尭、17年9月6日ヤクルト戦の宮崎敏郎に次いで球団3人目。