北海道6大学野球春季リーグが23日、苫小牧・とましんスタジアムで開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年春秋のリーグ戦出場を辞退し、来春から市立化を予定する旭川大が、16年秋以来のリーグ制覇を狙う。右肘のケガから復帰し大学初の公式戦に挑む原田大史投手(クラーク)ら4年生を中心に一丸となり、函館大との開幕戦勝利を目指す。

朝6時半開始のチーム練習。原田は誰よりも緊張していた。練習前に鷲田義典監督(55)からリーグ戦のメンバーが発表された。「18番が欲しい。でもどうかな」と不安だった。監督の第一声は「原田、背番号18」。最初に名前を呼ばれ「エース番号をもらえてうれしい。やっと公式戦で投げられる」。練習後ユニホームを手に取りながら笑みは絶えなかった。

高校は地元神奈川を離れクラークに進んだ。だが出場機会は少なかった。大学生活も苦しみばかりだった。大学1年の夏前に右肘を痛めた。1年間病院には行かず、自然と痛みが引くのを待ったが痛みは消えない。2年夏に札幌市内の整形外科を受診。「右肘靱帯(じんたい)断裂」と診断された。「あの時はもうずっと腐っていました。練習もダラダラやって自主練もせずにずっと遊んで」。学生コーチになろうと監督に直訴したが「頑張りなさい」と背中を押された。両親にも相談し20年9月、右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)に踏み切った。

リハビリを経て、昨年4月に5メートルほどの距離から投球を再開。投げる距離を徐々に伸ばし、リーグ戦初登板を目指していたが、新型コロナの影響でチームは春のリーグ戦第1節を終え途中辞退。秋も辞退したことで、結局この年もマウンドに上がることができなかった。

最後の1年にかける。3月の鹿児島遠征で復帰登板を果たすと、今月17日に行われた社会人野球のウイン北広島との練習試合では先発して5回1失点と結果もついてきた。「自信がついてきました。思い切り腕を振っていきたい」。大学野球の4年間分を、ラストイヤーにぶつける。【山崎純一】

○…来春4月の市立化を予定している旭川大が、私立大として最後の春季リーグ戦に挑む。8度のリーグ優勝のうち春制覇は5度。春は12年以来10年ぶりの優勝を狙う。就任7年目の鷲田監督は「私立大学として最後の年なので一花咲かせたい。野球部が先陣を切って結果を残して、ほかの部にも勢いをつけたい」と力を込めた。

◆原田大史(はらだ・たいし)2001年(平13)3月17日、相模原市生まれ。相模原横山小1年時に相模ボーイズ小学部で野球を始める。相模原清新中時代には相模ボーイズ中学部でプレー。高校時代は、留萌出身の父の地元北海道のクラークへ。右投右打。最速143キロ、50メートル走6秒4。遠投115メートル。家族は両親と兄2人、妹。目標の選手は元阪神の藤川球児。血液型A。好きな食べ物はカレーライス。180センチ、78キロ。

◆22年北海道6大学春季リーグ 北海道教大旭川が、大学方針で部活動禁止になったため開幕第1節を辞退しており、対戦予定だった北洋大は不戦勝。開幕節は2試合ずつ行い、23日が函館大-旭川大(午前10時)、東農大北海道-北海道教大函館(午後1時)、24日は旭川大-函館大(午前10時)、北海道教大函館-東農大北海道(午後1時)。いずれも苫小牧・とましんスタジアム。最終第5節は、5月21、22日に同スタジアムで行う予定。優勝チームは全日本大学選手権出場権を獲得する。