風ニモマケズ、マー君が踏ん張り、首位を守った。

最大風速19メートルが吹き荒れたZOZOマリンで楽天田中将大投手(33)が先発し、7回3安打9奪三振で1失点と好投。8回に追い付かれ、12年10月8日以来となる同球場10年ぶりの勝利はならなかったが、打線が延長10回に勝ち越し。ロッテに競り勝ち、0・5ゲーム差で首位をキープした。

   ◇   ◇   ◇

今季初めて立ったZOZOマリンのマウンドは、まれに見る強風が吹き荒れた。田中将はアジャストした。「しっかり7回まで投げられた、最少失点でいけた。チームに勝つチャンスを残しながら投げられたってことは、よかったと思います」。自身に勝敗は付かなかった。だがハイクオリティースタート(7回以上自責2以下)を開幕から4試合継続した。

初回はいら立ちを隠せなかった。投げる度に帽子が飛ばされる。場内の風速計はプレーボール前に19メートルを計測。開始後も17、18メートルが常時吹き付け、先頭から2者連続で四球を出した。メジャー時代も含めて「過去イチじゃないですか」と言う初体験の風。少しずつ、ひもといていった。

まずは自身の動き。走者がいなくてもセットポジションで投げた。大きい動きは乱される。次に球の動き。「各球種がどういう動きをするか。ボールが垂れるところ、吹き上がるところ、そのままいくところのゾーンの確認。データを自分の中で集めて投げたから、回を追うごとにまとまっていったんだと思います」。4回に1死球を与えたものの、四球は2回以降ゼロ。「計算できない」と言った風を、つかんだ。

ストライクが入らない球種を投げないのは簡単だ。でもそれをしなかった。「スライダーがうまく変化しないといっても、全く投げない形は取りたくなかった。打者から選択を消してしまうことになるんで」。細心の注意を払いながらの106球。体力と頭脳をフルに使った熱投が、延長戦の末の勝利を呼び込んだ。【鎌田良美】

【ニッカン式スコア】26日のロッテ-楽天戦詳細スコア>>