エースが決めた。広島大瀬良大地投手(30)が2安打無四球完封で球団通算4500勝に花を添えた。立ち上がりから中日打線に的を絞らせない配球でアウトを積み重ね、5回以降は1人の走者も出さなかった。6回から捕手が代わるアクシデントによる影響も感じさせなかった。中日先発高橋宏との投げ合いで貫禄を見せつけ、リーグトップタイの4勝目を手にした。

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ナインがマウンドに駆け寄ると、ようやく大瀬良は笑顔を見せた。すべてを背負った登板だった。持ち越しとなった球団節目の勝利だけでなく、前夜逆転負けで連敗。バンテリンドームでも今季3連敗でまだ勝てていなかった。最小得点差の試合展開もあり、エースは投球で戦う姿勢を示した。「チームとして流れを止めないといけない試合だったと思うので、勝てて良かった」。敵地マウンドで仁王立ち。5回以降は1人の走者も許さず、2安打無四球の完封勝利でチームの連敗を止め、球団通算4500勝を飾った。

150キロ超の真っすぐを主体に押す中日の19歳、高橋宏の若々しい投球に対し、渋みを感じさせる投球だった。立ち上がりから多彩な変化球を使い、中日打線に的を絞らせない。中盤5回まで投じた65球のうち、同じ球種を続けたのは6度しかなかった。会沢の負傷交代で坂倉とバッテリーを組んだ6回以降は一転、中盤までの配球を布石とするように同じ球種を続けた。7回1死。ビシエドをスライダー2球で追い込むと、首を振ってスライダーを選択。「マツダで投げたときもそう。インコースを使って反応していた」。すでに今季3試合目の対戦となったことすらプラスに変え、空を切らせた。

前回22日DeNA戦は完封目前の9回に失点し、降板となった。やられたらやり返す、完封劇。「ロッカーもすごくいい雰囲気だった。こういう試合を続けていけるように、みんなで力を合わせていきたい」。リーグトップタイ4勝目の大黒柱に、佐々岡監督は「大地の投球に尽きます。1人で投げきってくれたのはさすが」と最敬礼だ。球団通算4000勝は前田(ツインズ)の完投勝利によってもたされていたが、今回は前エース超えの完封でメモリアル星に花を添えた。【前原淳】

○…広島会沢翼捕手(34)が29日、中日6回戦(バンテリンドーム)の6回裏の守備から途中交代した。6回1死一塁から併殺打に倒れた際に何らかのアクシデントが発生したとみられ、試合後蔦木トレーナーは「下半身にアクシデントがありました」と説明。試合中にアイシングの処置を行い、病院へは行っていない。佐々岡監督は30日以降について「分からない。明日の報告を聞いてから」と話すにとどめた。

▽広島坂倉(会沢の負傷交代で6回裏に急きょ三塁から捕手に)「話ができないまま入ったので、気にせず(サインに)首を振ってくださいと言っていました。イニング間に会話しながら、アツさんのリードをなんとかつなげられればと思ってやりました。大地さんの投球が良かったです」

<広島の節目勝利>

◆1勝(1950年〈昭25〉3月14日、16-1国鉄、広島総合)球団創設から3試合目で初勝利。15安打16得点で大勝した。

◆500勝(60年5月7日、7-1阪神、広島市民)草創期に活躍し、身長167センチで「小さな大投手」と呼ばれたエース長谷川良平が9回1失点で完投。

◆1000勝(68年9月9日、3-2サンケイ、神宮)0-1の6回に3点を奪って逆転。大石弥太郎から外木場義郎のリレーで競り勝った。

◆1500勝(77年4月28日、3-2大洋、川崎)77年に20勝を挙げた高橋里志が8回途中を1失点。打線も1点ビハインドの4回に山本浩二の逆転3ランが飛び出した。

◆2000勝(84年9月1日、6-1ヤクルト、広島市民)山本浩二が2発、左腕の川口和久が9回1失点と投打がかみ合った。

◆2500勝(92年4月8日、9-5大洋、横浜)マーティー・ブラウンが初回の第1打席に3ラン、2回の第2打席は満塁本塁打と2打席連発。2回の本塁打はチーム100号の満塁本塁打となるメモリアルアーチで白星に花を添えた。

◆3000勝(99年9月7日、12-7ヤクルト、神宮)ルーキーの新井貴浩が2ラン2発、金本知憲も2ランを放つなど13安打12得点で打ち勝った。

◆3500勝(07年8月24日、8-7巨人、広島市民)7-7の9回2死から代打の尾形佳紀が右翼にサヨナラ弾。6度の右ひざ手術を乗り越えた苦労人が試合を決めた。

◆4000勝(15年6月19日、3-1DeNA、横浜)前田健太が9回を5安打8奪三振で1失点。119球の力投で勝利へと導いた。

【ニッカン式スコア】29日の中日-広島戦詳細スコアはコチラー>