楽天浅村栄斗内野手(31)が、試合を決めた。同点の延長11回2死二、三塁、右翼へサヨナラ適時打を放った。それまで5打席で安打がなかったが、最後の一振りで大仕事。ソフトバンクとの首位攻防戦勝利に貢献し、ゲーム差を3に広げた。直近10戦で打率4割、4本塁打、14打点と絶好調。首位を走るチームを支えている。

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1球ごとにどよめいた。9回に4点差を追いついての延長11回。サヨナラのチャンスで浅村が打席に入ると、球場の熱気が最高潮となった。初球から3球続けて見逃し。カウント2-1からの4球目、津森の150キロ直球をフルスイングで空振りした。続く5球目の内角高め150キロ直球、6球目の真ん中136キロスライダーもフルスイングでファウル。「圧」でソフトバンクにプレッシャーをかけ続けた。

そして、7球目だった。真ん中に入った直球を捉えると、打球は右翼手の頭を越えていった。「もう追い込まれてたし、どの球種がくるかも分からない状況だったので、なんとか必死にいきました」。球場から湧き立つ歓喜を全身で浴びながら、笑顔で右腕を突き出した。

これで今季は22打点。オリックス吉田正とは1打点差でトップの座を争っている。今年は特にチャンスで打席が回ってくることが多い。1番に座る西川の出塁率は4割7分2厘、7盗塁はリーグ2位タイ。新加入のリードオフマンに「本当にいい選手なので負けたくないという気持ちで今年はやれている」と闘争心を燃やしている。

一方の西川も「後ろにすごいバッターがいるので回すことだけ考えていた」とチーム打撃に徹している。高いレベルでの切磋琢磨(せっさたくま)が、チームに相乗効果を生んでいる。浅村はお立ち台で「すごいバッターが前にいるので、なんとか負けないように力を振り絞りました」と西川の言葉を引用。信頼関係をのぞかせた。

仲間から刺激を受けながら、これからも主軸としてやるべき仕事は変わらない。浅村は「ランナーがいるケースでは、かえしたいという気持ちでやっている。今のところそれがいい方向に行ってるかなと」。結果に手応えを感じながらも、長いシーズンへ向けて切り替えた。【湯本勝大】

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