子どもたち、お待たせしました! 阪神が「こどもの日」に今季初のサヨナラ勝ちを決めた。

9回に先頭の近本光司外野手(27)の左前打と2つの申告敬遠で2死満塁とし、山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選んだ。今回のヤクルト3連戦(甲子園)は「ゴールデンウイークこどもまつり」として開催。そのフィナーレで連敗を2で止めた。チームは15年からこどもの日に引き分けを挟んで6連勝だ。

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子どもたちの目が輝いた。夕方の甲子園に、4万2417人のメガホン音が一斉に響いた。それに応えるように、山本が右手に持ったバットを突き上げる。押し出し四球で今季初のサヨナラ勝ち。本塁を踏んだ三塁走者近本は、仲間のウオーターシャワーを回避しながら、歓喜の渦に合流した。

近本 こどもの日の3連戦で1勝もできずに帰ってもらうっていうのは悔しいと思いましたし、なんとしても今日は勝たないとっていうのがありました。

同点の9回。先頭で左前打を放ちサヨナラ劇を呼んだ。3回にはチーム21イニングぶりの得点の起点となる中前打。昨季リーグ最多安打男が、今季2度目の猛打賞、全て生還して子どもたちの思いに応えた。

「そりゃ叫びたい。バットも投げたいしヘルメットも投げたいけど、それをしたところでね。打てるかと言ったらそうではない」

3、4月は打率2割台。打撃に手応えを感じていただけに、捉えた打球が正面を突き、フラストレーションがたまる日もあった。そんな中でも、フォームや感覚は「むしろ変えないように」。やるべきことを積み重ねた結果が数字に表れ始めている。

5月は18打数9安打、打率5割。矢野監督も「近本が出て動いてっていうのが、うちの野球。楽しみがだいぶ出てきたっていう状態になってきてる」とうなずいた。日々思考し、愚直に己と向き合う。プロフェッショナルな生きざまは、何よりも子どもたちのお手本となったはずだ。リードオフマンとともに、虎の逆襲も加速していく。【中野椋】