広島九里亜蓮投手(30)が阪神8回戦(甲子園)で6回2/3を投げ2失点で2勝目を手にした。不安定な立ち上がりで先制直後の1回に逆転を許すも、2回以降は立ち直った。打線が逆転し、降板した7回途中からは中継ぎ陣が最少得点差を守り抜いた。味方のサポートもあり、投手主将は4月5日巨人戦以来の白星ゲット。チームは4連勝で、首位に再浮上した。

  ◇  ◇  ◇

勝利のため、最後までベンチ最前列で声を上げた。最少得点差の試合終盤、先発九里は悔しさを抱えながらチームのためにできることをまっとうした。投球は立ち上がりから本調子とはほど遠く、何とか立ち直るも、慎重さからピンチを招いた。7回途中でマウンドを中継ぎ陣に譲り、最少得点差を守り抜いて自身に白星が付いた。チームの勝利に胸をなで下ろしながらも、試合後の表情は厳しいままだった。

「抑えてくれた中継ぎピッチャーに感謝です。(7回は)投げ切らないといけないし、四球からヒットで満塁になったので。防げるところではあるので、そういう投球をしっかりできるようにしていきたい」

立ち上がりからリーグ最多与四球の悪癖を露呈した。先制点をもらった直後の1回。1死から四球を許すと、連打で同点。2死一、二塁からは糸井に勝ち越し打を右前に運ばれた。前回4日巨人戦に続く援護点直後の失点となった。2回以降は坂倉から腕の振りの弱さを指摘され、修正。気持ちも球に乗せた。5回2死三塁はマルテを空振り三振に切り、何度もグラブをたたいた。

四球から1死満塁を招いた7回は、マルテを三振に切った直後に降板となった。それでも投手主将の粘投が中継ぎ陣にも伝わった。7回2死満塁はターリーが佐藤輝を3球三振。8回1死二、三塁塁から登板した森浦は無失点で切り抜けた。今季1点差試合は9勝5敗。総合力で接戦をものにする投手陣を束ねるのが、投手主将だ。佐々岡監督は「立ち直ったんですけど、やっぱり最後のあの四球。あと1イニング投げてもらいたかった」とさらなる高みを求める。九里自身が納得できていない。「信頼される投手にならないといけない。もう1イニング任せても大丈夫を思ってもらえるようにしたい」。本調子ではない中、手にした白星を次戦の糧とする、【前原淳】

○…1点リードの2死満塁から救援したターリーが空振り三振で火を消した。3-2の7回に先発九里がピンチを招き登板。佐藤輝を真っすぐ、真っすぐ、カーブで3球で空振り三振に仕留めた。「目の前の打者をアウトにすることだけを考えた。(甲子園で)歓声や罵声のようなものが上がることは自分自身も気合が入る」。熱狂的な応援を、逆手にとって三振につなげた。

○…1点リードの8回1死二、三塁からマウンドに上がった森浦も火消しに成功し、今季初のヒーローに選出された。3番手ケムナが2四球と犠打で1死二、三塁を招いたところで登板。ロハスをチェンジアップで空振り三振。梅野も同球種で遊ゴロに打ち取り、ピンチを脱した。「いいところに決まってくれた。チームの勝利に結びつくようなプレーをしたい」。昨季チーム最多登板の左腕が、リリーフで光った。