ロッテ佐々木朗希投手(20)がセ界に驚異の直球を投げ込む。24日から始まる日本生命セ・パ交流戦。現在パの投手部門で5冠の佐々木朗は、まずは27日の阪神戦(ZOZOマリン)に先発する。1年前、同じ5月27日阪神戦(甲子園)でプロ初勝利をマーク。10キロ近く増速した直球で2度目の虎狩りへ挑む。

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ちょうど1年前、甲子園での佐々木朗希VS阪神打線を振り返る。大山は151キロを右中間へはじき返した。佐藤輝は152キロをレフト前へ痛烈に。サンズは153キロ、151キロ、149キロを3安打。この試合の直球の平均球速は150・7キロだった。1年が過ぎ、今シーズンここまでの佐々木朗の直球は平均159・5キロ。猛虎の記憶に残っている背番号17とは、もう別の投手になっている。

今季8試合で424球の直球を投げた。うち235球が160キロ以上で、その比率は55・4%。とんでもない領域だ。160キロ台を打者がスイングしたのは144球で、そのうち安打は8本。被打率0割5分6厘。理解が追いつかない数字が並ぶ。

8安打はいずれもセンターから逆方向。まだ誰も引っ張っての安打はない。佐々木朗は「しっかり投げれば、そんなに球速も落ちずに投げられているので」と話しており、実際に球数が100球に近づいても、160キロを超えてくる。空振り率が高いフォークも備え、初対戦の打者にはかなりの難関になるはずだ。

交流戦期間も金曜日の先発が続く予定。天候不良が続いてのローテ再編がなければ阪神、巨人、DeNAとの対戦になる。オープン戦で満塁弾を浴びた巨人岡本和へのリベンジも注目される。1年前の甲子園が今なお思い出深いという佐々木朗は「まだ対戦したことのない選手との対戦もあると思いますが、ストライク先行で自分らしい投球を心がけ、チームの勝利に貢献できたら」。気持ちを新たにセとの戦いに臨む。【金子真仁】

▽佐々木朗希が狙う主な交流戦記録 

◆1試合最多奪三振15 田中将大(楽天)が11年5月20日ヤクルト戦、山本由伸(オリックス)が21年6月11日広島戦でマーク。

◆年度最多奪三振 06年松坂大輔(西武)の63個が最多だが、当時は1チーム36試合制で6試合登板していた。18試合制になった15年以降は、19年今永昇太(DeNA)と21年山本の33個が最多。

◆2桁奪三振 3度記録すれば、18試合制では初めてになる。

◆防御率ゼロ 規定投球回到達の防御率ゼロは15年メッセンジャー(阪神=24回無失点)しかいない。

 

◆阪神の三振数はセ・ワースト 佐々木朗がローテーション通り毎週金曜日に投げると、交流戦の相手は阪神(ZOZOマリン)巨人(東京ドーム)DeNA(ZOZOマリン)になる。阪神の三振数はここまで佐藤輝45個(セ最多)、大山35個などリーグワーストのチーム352個。巨人もポランコ38個、ウォーカー36個などリーグワースト2位の350個を記録している。巨人戦の東京ドームでは相手投手が打席に立つこともあり、佐々木朗の奪三振は増えそうだ。

 

○…佐々木朗の160キロに広告が付く。23日、球団と京成電鉄が「160キロプロジェクト」を発表。27日阪神戦以降、ZOZOマリンで佐々木朗が160キロを出すと場内のリボンビジョンに演出が入る。さらに23日時点の自己最速164キロ以上を投げるとバックスクリーンのビジョンで特別演出も実施される。千葉県内を走る京成スカイライナーが国内在来線最速の最大時速160キロを誇ることから、話が進んだ。特定選手の特定の球速に企業広告がつく、異例といえる動き。今季の本拠地先発4試合では計397球を投げ、うち160キロ台の直球は150球。比率は37・8%となる。