西武は3回に打者14人、8得点のビッグイニングで快勝した。スイッチを入れたのは山川穂高内野手(30)。2死一塁からバックスクリーンに飛ばす16号2ラン。その主砲のアーチが呼び水となって、一気に打線は火が付いた。

試合後、山川はにやり笑った。94キロ。DeNA上茶谷のスローカーブ。遅く緩い球を、完璧なタイミングで振り抜いた。相手が練ってきた攻略の配球を痛快に打ち砕いた。

「さすがにカーブを待ちました! してやったりとの気持ち。カーブは待ったらチャンスボールですから。今日は駆け引き、読んだ。あのカーブを本塁打にできたのは気持ちがよかった。完全にやり返せた」

カギは1回の空振り三振にあった。5球のうち3球で90キロ台のスローカーブを織り交ぜられた。「100キロを切る場合、150キロを待つと打てない」。次の打席、一振りで仕留めた。

13日楽天戦でも滝中から3打席で全12球がスローカーブという異例の配球で攻められ、無安打に封じられていた。山川は「基本的には真っすぐ待ち」で変化球にも対応する。いつもと違うことをするのは嫌う性分でもあり、滝中と対戦時も「ムキになって真っすぐを待った」と曲げなかった。

ただ、今回は「さすがに」という状況の「駆け引き」の中で柔軟に対応した。滝中との対戦以降、他球団にとってもカーブ攻めは山川対策の“トレンド”にもなっていた。それは…まやかしでしかない。それを示す意味ある1発でもあった。【上田悠太】

○…山川が本塁打を放った13試合は全勝となった。不敗神話の継続も「最悪ですね」と言う。その理由、思いを吐露。「逆に言えば、ホームランを打たなければ負けるのかという感じになってしまう。負けている試合でも打ちたい。結果より過程が大事。僕がホームランを打てなくても勝ちますよ。ライオンズは」と言葉にグッと力を込めた。

辻監督(今季最多10得点の打線について)「相手のミスもあり、(点を)いただいた部分もあると思うが、その中でも選手は四球だったり、しぶとくつないでくれた。久々につながったなという感じ」

【関連記事】西武ニュース一覧