準完全ノーヒッターの翌日は、完全試合より珍しい史上3度目の「準完全リレー」が生まれた。

「日本生命セ・パ交流戦」で西武の3投手が巨人相手に、許した走者1人のみの完封リレーを演じた。先発の与座海人投手(26)が6回まで完全投球。7回先頭で中前打を許したが、1死後に併殺に打ち取った。8回は平良海馬投手(22)、9回を増田達至投手(34)がそれぞれ3者凡退。打者27人、残塁0で試合を終え、2連勝でカード勝ち越しを決めた。

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終わってみれば打者27人。「準完全」であることを与座は試合後に指摘されて気付いた。「あ! 本当ですか。そうなんですね。そうか、そうか…。良かったです」。3人で成し遂げた偉業をかみしめた。

プレーボール前、主砲山川に「ノーノーしてこいよ」と送り出された。6回まで完全投球。安打されていないことは頭の片隅にあった。7回先頭、巨人吉川に変化球を中前へ運ばれた。「大学時代から同じリーグで何回も対戦して、しのぎを削ってきた。いい打者です」。かつてともに東海地区大学野球連盟の岐阜リーグでプロを目指した、1学年上の先輩。実力は知っている。むしろ、記録が途切れた後も落ち着いて投げられたことが収穫だった。

今季のプロ野球界は、ノーヒットノーランが毎月のように出ている。その中には沖縄尚学の先輩であるソフトバンク東浜もいる。「ナオさんは真っすぐも速いし、変化球もすごい。到底かなわないです。僕は僕のスタイルで投げ切れたのが一番良かったですね」。圧倒的少数派のサブマリンは高めに浮き上がる球が武器。ベルトゾーンを避けて高めと低めを意識した。クイックモーションで打者のタイミングをずらした。

7回に丸を二ゴロ併殺に打ち取った与座は、バトンを頼もしい2人に渡した。「平良と増田さんは絶対的なので」。平良は4番岡本和からの中軸を17球で。守護神増田は9回をわずか6球で抑えてみせた。

増田は通算セーブ数を158に伸ばし、豊田投手コーチを抜いた。「うれしいですし、自分1人で達成できることでもない。これからも1セーブずつ積み重ねていけるように頑張ります」と引き締める。6月に入って5連敗、からの2連勝でカード勝ち越し。本拠地で巨人打線をねじ伏せた。【鎌田良美】

▼西武が与座-平良-増田のリレーで1安打完封勝ち。与四死球や失策がなく、出塁した走者は7回、中前打の吉川だけ。許した走者1人で完封する準完全試合を継投で達成したのは、58年4月5日阪神の藤村隆-小山、97年7月1日横浜の野村-佐々木に次いで3度目となり、3人で達成は初めてだ。与座は7回1死一塁から丸を併殺に打ち取り、巨人は残塁0。継投で残塁0の準完全試合は97年横浜(野村が6回1死一塁から門倉を遊併)に次いで2度目。

▼前日は今永(DeNA)が準完全試合を達成。準完全試合は1人で記録したのが51度あり、継投が3度で合計54度。58年4月26日に大崎(阪神)村田(国鉄)65年10月2日に外木場(広島)小川(中日)と、1日に2人が準完全試合を達成したことがあるが、継投を含めて「2日連続」は今回が初めてだ。

○…小技と足で3点をもぎ取った。3回1死一、二塁からまずはオグレディが左前適時打。続いて二、三塁から外崎がスクイズを決めた。「緊張しました」と言いながら、外角低めへの変化球を一塁線へ転がした。最後は重盗。2死一、三塁で一走の滝沢がスタート。巨人小林が二塁へ送球したのを見るや、三走オグレディがホームへ飛び込んだ。「素晴らしい投球をしている投手を助けるのが打者の仕事。まっとうできてよかった」と与座に勝ちをつけた。

▽西武豊田投手コーチ(増田が自身の通算セーブ数を抜き)「スイスイいってくださいよ!僕はライオンズに戻ってきて、いいクローザーと出会えて本当に幸せだと思います。マスにはこれからぼんぼん、もっともっと大事な場面で投げてもらおうと思っています」

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