伏兵が、プロ10年目で初のサヨナラ打だ。日本ハムが谷内亮太内野手(31)の一打で延長戦の末、今季3度目のサヨナラ勝利を挙げた。「日本生命セ・パ交流戦」の中日戦で延長11回2死二塁、中越え適時二塁打を放ちヒーローになった。カード初戦の勝利は4カードぶり。交流戦最終カードで白星スタートを切った。

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お立ち台でも地に足付けた、いつもの谷内がいた。観衆の興奮をよそに、謙虚さを貫いた。「自分で決めるとか、そういうのじゃない。何とか後ろにつないで、最終的に勝てるようにと思って打席に立ちました」。白熱の投手戦の末、1-1で迎えた延長11回2死二塁。2球目の直球154キロを振り抜くと同時に、耳をつんざくような歓声が鳴り響いた。中越え適時二塁打でサヨナラ勝利を呼んだ。

「ああいう場面で打席に立たせてもらったので、何とか期待に応えたい、何とかしたいという気持ちがあった」。プロ10年目で初のサヨナラ打。「こういう感じなんだ、と。とても感動した気持ち」と不思議そうに受け止めた。

12年ヤクルトでプロスタートし、18年オフには交換トレードで日本ハムに加入。安定感ある守備を売りに、唯一無二の存在感を放ち続けてきた。30歳を越え、レギュラー定着には至らない立場。それでも変わらず練習に励み続け、野球の神様を振り向かせた。

新庄監督には先見の明があった。「何か谷内君のバッティングを見ていたら、やってくれそうだな~と思っていた」。この日は9回の先頭で代打投入。中飛に倒れたが、続く打席で最高の結果をもたらした。「一瞬のチャンスをね…。日々努力して、常にいつでも行けるっていう姿勢が見えている。これをきっかけにレギュラーを取りに行って欲しい」と期待。勢い十分な伏兵を、11日のスタメンに約束した。

BIGBOSSの奇想天外の采配に、谷内は心を躍らせている1人。DHや「1番」起用には、「目を疑いました」と笑う。これまでのプロ野球人生では考えられなかったという。「内心うれしい。何とか応えたいと思って、今後もやりたい」と燃えている。チームは今季3度目のサヨナラ勝利。熱気の中心に、ぎこちなく笑うスーパーサブがいた。【田中彩友美】

◆谷内亮太(やち・りょうた)1991年(平3)2月3日、石川県生まれ。金沢西高3年春に県大会優勝。国学院大では4年春にリーグ2部でMVP、4年秋に遊撃手としてベストナインを獲得。12年ドラフト6位でヤクルト入団。18年オフにトレードで日本ハムに移籍。内野すべてを守れる守備職人。177センチ、82キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2300万円。

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