これぞ、エース。広島大瀬良大地投手(31)がDeNA10回戦(横浜)で今季2度目の無四球完封で6勝目を手にした。大量援護を背に、5回以降は得点圏に走者を進めず、8奪三振。2戦連続延長戦明けの移動試合でチームが苦しい中、9回まで1人で106球を投げ抜いた。自身3連敗から復調を感じさせる力投で、1カ月ぶりの3連勝に導いた。

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表情ひとつ変えず、最後までマウンドに立ち続けた。大瀬良は27個目のアウトをDeNAの4番牧から二飛で奪っても、白い歯を見せることはなかった。この日は立ち上がりから直球に本来のキレを感じさせた。宝刀カットボールではなく、フォークを効果的に使いながら相手打線を押し続けた。5回以降は得点圏に走者を進めなかった。今季2度目の無四球完封で自身の連敗を止め、チームの連勝を3に伸ばした。

「あれだけふがいない投球が続いていたら、自分の中でいろんな思いがありました。何とかチームのためにという気持ちを持って投げられて、結果が出せて良かった」

5月20日中日戦での5勝目を最後に白星から遠ざかった。交流戦途中にはコンディションへの不安もあり、出場選手登録を抹消して再調整に充てた。だが、復帰登板の前回ヤクルト戦は4回4失点。「こういう立場で恥ずかしさじゃないけど、しっかりとやらないといけないなと。一生懸命やっても結果がついてこないもどかしさもあった」。自身3連敗で迎えたマウンドに期するものがあった。

2戦連続延長を戦ったチームは、この日広島から横浜へ移動したばかり。さらに2試合で計11投手の中継ぎが登板し、3連投の栗林はベンチ入りメンバーから外れた。「自分のことよりチームのために投げたいと思ってマウンドに立った。なんとか最後まで投げきれて良かった」。苦しい台所事情の中、最後まで1人で106球を投げ抜いた。

苦しみながら得た6勝目で、チームを約1カ月ぶりの3連勝に導いた。だが、敵地でのヒーローインタビューでも“大瀬良スマイル”は封印したまま。「何としても勝ちたいと思っていた。明日以降も連勝を続けられるように、みんなで力を合わせて頑張りたい」。この1勝に満足することなく、次の登板に目を向ける。まだまだ借りは、返せていない。【前原淳】

 

○…菊池涼の左翼ポール際への打球は風に助けられ、3号2ランとなった。3回1死一塁から左翼線へ打ち上げた飛球は、風の影響で切れずに、そのまま左翼席に着弾した。「風のおかげで入ってくれて良かった。(22、23日と)延長戦を2試合やって粘りは出てきている。今日は初回に(坂倉の適時打で)2点入った流れと、(完封の大瀬良)大地に尽きる」。点差を4点に広げる2ランを放ったが、仲間への称賛を真っ先に述べた。

○…坂倉が先制打&6号ソロを含む猛打賞で大暴れした。1回2死一、二塁では今永から中堅フェンス直撃の先制2点適時二塁打。9回2死では三上の内角スライダーを完璧にとらえ、ライナーで右翼席へ6号ソロを運んだ。「チームも今週負けなしで、そういう波に乗れた。今週くらいからちょっと感覚が良くなってきたかなという感じ」。7回には中前打も放ち3安打。11戦連続安打と好調だ。

○…中村健がDeNA今永から豪快な2号ソロを放った。4回先頭で左腕の直球を左中間へはじき返した。風にも乗り、スタンド中段まで飛んだ。「真っすぐが走っていたので振り負けないようにフルスイングした。ライナーを打ちにいった結果がいいスイングにつながった」。1号はヤクルト石川、2号はDeNA今永から。ドラフト3位ルーキーは好投手から本塁打を放っている。

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