<阪神6-4中日>◇24日◇甲子園
阪神湯浅京己投手(22)がプロ4年目で待望の初勝利をつかんだ。
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湯浅には忘れられない夜がある。2年目の20年6月。プロに入り3度目の腰椎疲労骨折と診断された直後、三重・尾鷲市の両親に電話を入れた。「3度目はないだろうって思っていたのに…」。寮の自室にはおえつが響いた。これでもかと泣いた。
母衣子さん(50)もはっきりと覚えている。「『骨が折れたままでもやる』って言ってたくらいでしたから。つらい、悔しいの言葉では片付けられなかったです」。一緒になって涙することしかできない、もどかしさもあった。
それでも、右腕のポテンシャルを信じる球団の方針で「しっかり治るまで待つ」ということも伝えられていた。「育成に落とさずに支配下で置いておいてくれたのは感謝しかないし、結果で示すしない」。枯れるまで流した涙には、前を向くための決意も込められていた。
初勝利の夜、お立ち台でこみ上げてきたものはぐっとこらえた。背番号65には、笑顔がよく似合っていた。【阪神担当=中野椋】