ルーキーの奮闘で、日本ハム新庄剛志監督(50)が、幼少期からプロ入りまでを過ごした福岡で初勝利を挙げた。ドラフト9位上川畑大悟内野手(25)がプロ1号を含む3安打。サイクル安打がかかった延長10回は四球を選んで出塁し、決勝のホームを踏んだ。チームは交流戦明け待望の初勝利。連敗を7で止めた。

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思い出の詰まった福岡で、待望の勝利を飾った。新庄監督は勝利の瞬間、激戦の余韻から? 笑みを浮かべながら林ヘッドコーチの肩に頭を預けた。連敗は7でストップ。「いやいや、それは。(連敗は)いつか止まるでしょ」。さらりと流した。

BIGBOSSに福岡1勝をプレゼントしたのは、ドラフト9位上川畑だった。1点を追う8回。右横手投げの又吉の3球目、145キロカットボールを狙い通りに振り抜いた。右中間へのプロ初アーチは値千金の同点弾。「1発あるぞ、というところを見せられて良かった。(記念球は)いつも支えてくれている妻に贈りたい」。出場22試合73打席目で奏でた快音に、控えめに右拳を握った。

この日は、プロ2度目の3安打。二塁打を残しサイクル安打に王手をかけるほど躍動した。試合前の打撃練習中、BIGBOSSから「魔法のアドバイス」を授かっていた。「ピッチャーを見るときに、あまり1点になりすぎずに球場全体を見るように構えてみろ」。結果は目に見えて表れた。上川畑は「力も抜けて、バランスよく構えられるようになった」と感謝した。

「もう2度とないチャンスだと思った」と、サイクル安打への欲もあったが、延長10回1死で迎えた第4打席は、フルカウントから四球を選んだ。決勝点へとつながる価値ある出塁だった。

昨年12月に結婚した新婚ルーキーの奮起で、チームは今季「7」度目の延長戦を制した。連敗を「7」で止め、交流戦明け待望の初勝利。ペイペイドームでの連敗も「7」でストップした。新庄監督は「ポイントとタイミングの取り方を(よく)すれば、相手の速いボールを利用して、飛ぶんですよ。そういう打ち方をしてくれましたね」と、上川畑をたたえていた。【田中彩友美】

○…新庄監督は地元福岡のペイペイドームで、サプライズを予告した。メンバー表の交換時に、ソフトバンク藤本監督に「ファンの方たちを喜ばせたいので、今度いつかウチの試合のとき、試合が始まったと同時に上(屋根)を開けてもらえたらうれしいですね」と提案。「OK、OK、ちょっと考えるからって」と前向きな返答をもらえたようで、ノリノリだった。

○…3年目の鈴木がBIGBOSSプロデュースのプロ初勝利を挙げた。同点の9回にデスパイネを一飛に打ち取ってワンポイント登板に成功。直後に味方が勝ち越して、メモリアル勝利が転がり込んだ。春季キャンプ中に新庄監督の助言でサイドからアンダースローへ転向。「最初は戸惑いしかなかったけれど、ボスが可能性を広げてくれた。本当に変えて良かった」と、笑顔を見せた。

▽日本ハム新庄監督(デスパイネを期待通りの一飛で打ち取ってプロ初勝利の鈴木に) こっちがタイミングを狂わせていったら、もう訳分からなくなると思う。大体、フライ上がるんですよ。そういうイメージで出しました。

○…谷内が執念で決勝点を生んだ。延長10回2死二塁で代打の代打で登場。投前のボテボテのゴロとなったが、懸命に走って内野安打。さらに嘉弥真の悪送球で二塁走者の上川畑が生還した。「連敗中だったので、なんとしても勝ちたいというチームの思いが、あのヒットにつながった」と振り返った谷内に、新庄監督は「ナイスセーフティーバントね、谷内くん。あれ、違った?」と笑顔だった。

○…堀が2年ぶりのセーブを「1球セーブ」で記録した。延長10回2死二、三塁の場面で登板。代打松田を初球で三飛に打ち取って、大ピンチを切り抜けた。「マウンドに行く寸前にビッグボスが『楽しんで』と言ってくれたので、そんなに緊張することなくマウンドに上がることができました。(1球セーブは)ラッキーだったと思います。勝利に貢献できて良かったです」と話した。

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