阪神近本光司外野手(27)が連続試合安打を「28」に伸ばし、01年に桧山進次郎(現日刊スポーツ評論家)がマークした球団日本人最長記録に並んだ。3回に左前打で好機を広げて一挙4得点を演出。8回には前日斬られた中日根尾相手にリベンジの右前打を決め、5点目のホームも踏んだ。チームの連敗を4で止める活躍で11年マートンの球団記録まで「2」、1979年(昭54)に高橋慶彦(広島)の日本記録まではあと「5」。いよいよカウントダウンに入ってきた。

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三遊間の真ん中に近本のライナーが飛んだ。三塁高橋周は1歩も動かない。遊撃京田は数歩追いかけ、すぐに諦めた。その瞬間、バンテリンドームの虎ファンが掲げたのは、「28試合連続安打」の手作りボード。拍手が起こる中、フウッと息を吐く。直後、筒井一塁コーチから肩をたたかれ、チラッと白い歯を見せた。

「あれね、何だったっけな。(二塁へ)いいスタート切ってたって話をしていたかな、(一塁走者の)島田が」

1点を先制した3回、なお1死一塁の場面。のちに「神様」とも称された桧山氏の持つ、球団日本人最長記録の28試合連続安打に並んだ。それでも、後輩の盗塁を“邪魔”してしまったことで苦笑い。記録より、チームの勝利を求める男らしい気遣いがあった。そのHランプが大山の3点三塁打を呼び込み、この回一挙4得点。連敗ストップの機運が一気に高まった。

2点差に迫られた8回には右前打。前日、1点ビハインドの5回2死一、二塁で三ゴロに仕留められていた根尾から打った。「自分のバッティングができたから、それでいい。投手がどうこうっていう問題じゃない」。借りを返してもなお、冷静に言った。山本のスクイズで再び突き放す5点目を呼んだ。2安打ともホームに生還し「得点につながったことがよかったです」と笑顔を見せた。

試合前には中日大島と話し込んだ。同じ左投げ左打ちの中堅手。「共通点は少ない」というが「学べることはたくさんある。いい話ができたかなと思います」。通算1819安打を誇る竜のヒットマンから、進化へのヒントを得たようだ。

暑さが一層厳しくなる7月。エネルギー源は「あんこ」と即答した。2年前から、ペースト状に加工されたあんこを試合前やゲーム中に流し込んでいるという。チームきっての甘党にとって、連続安打継続に欠かせないアイテムになっている。

連敗を4で止める大活躍でチームは土曜日8連勝。近本自身は球団最長のマートンの30試合連続安打にあと2、日本記録の高橋慶彦の33試合連続安打にあと5に迫った。3日の中日戦で桧山氏を超えると、5日からの広島、ヤクルト6連戦で「記録更新ウイーク」がやって来る。【中野椋】

○…山本が貴重な追加点をたたき出した。2点差に迫られた直後の8回1死一、三塁。中日根尾の初球でスクイズに成功。きっちりと一塁前に転がし、三塁走者近本を生還させた。前日はチームが救援した根尾に好機を摘み取られただけに、会心のリベンジになった。直近4試合でスタメン出場し14打数5安打、1本塁打、2打点。1発と小技で存在感を高めている。

○…矢野監督が4回の攻撃前に円陣でゲキを飛ばした。初回の守備では1死一塁から遊撃中野が山下の打球をファンブル。2回にも1死二塁から高橋周の打球を一塁大山が後逸した。指揮官は「オレらはよく言うけど、かっこいい野球じゃねえだろって。もっと締まったかっこいい野球しようぜって」とナインに熱く語りかけた。その後はノーエラーで白星をゲットした

○…1番中野は今季9度目の猛打賞だ。初回に松葉から中前に運ぶと5回は右前、9回は森から中前に運んだ。「初回にしても自分が出るかどうかでチームの雰囲気も違うし、チームにもたらす勢いも違うと思う。初回の1打席目の意識を強く持ちながらやっている結果が、その後の打席にも良い形でつながっているのかなと思います」。打率を2割8分まで上げた。。

▼阪神は土曜日の連勝が8に伸びた。5月7日中日戦(バンテリンドーム)に敗れたのが最後で、同14日DeNA戦(横浜)から連勝を継続中だ。土曜日は今季曜日別最多の貯金5。貯金があるのは土曜日のほか、金曜日が3、日曜日が貯金2。週末のカードはすべて白星が先行している。

▼近本が連続試合安打を28に伸ばし、球団左打者最長の01年桧山進次郎に並んだ。球団記録は11年マートンの30試合で、あと2に迫った。NPB全体では、左打者最長の15年秋山翔吾(西武)の31試合まであと3。プロ野球記録の79年高橋慶彦(広島)の33試合まで、あと5に迫った。