広島が、勝てば巨人と入れ替わって48日ぶりに2位に浮上できた一戦で今季20度目の逆転負けだ。先発の九里亜蓮投手(30)を5回1失点わずか76球でスイッチしたが、救援した4投手全員が失点、計6失点と崩れた。佐々岡真司監督(54)は九里の投球内容のまずさから早めの継投を決めたと説明し、競り負けに「僕の責任。継投の失敗」と受け止めた。勝率5割復帰も逃した。

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5回裏を終えたマツダスタジアム。グラウンド整備で入念に水がまかれている中、6回の登板準備のためダッグアウト前でキャッチボールを行うのは…先発九里ではなく、2番手のケムナだった。

九里は5回まで4安打1失点、76球。キャンプでは200球以上を投げ込むときもあるタフネス右腕にとっては、余力十分な球数。今季14試合目で初めて80球以下でマウンドを譲った。結果的に試合を左右した投手交代について、逆転負けの直後、佐々岡監督は「内容を見て当然」と厳しい口調で言い切った。

「当然」のわけは5回にある。先頭の大城にソロを被弾。この時点でも指揮官は「本塁打はソロでいいとして」と平静だった。1死から吉川に右前打。その吉川は盗塁死で2死走者なし。しかし、勝ち投手の権利、チェンジを目前にして、ウォーカー、丸に連続四球とつまずいた。一、二塁で岡本和を中飛に打ち取ってピンチを脱したが、「6回続投」の切符を与えなかった。

佐々岡監督は「本塁打はソロでいいとして、なぜ急に変わるのか。投球自体も気持ちも変わっている。あの(ソロ)1本でそんなに変わるか」と右腕の急変に疑問を呈した。九里は「先頭に本塁打を打たれて、四球を2つ続けて出してしまった。そこは考えていかないといけない」と反省した。

この時点でスコアは3-1。しかし、九里の後を受けたケムナ、矢崎、森浦、ターリーと救援4人はそろって失点。6回以降に6失点と試合は崩れた。一時は3点リードがありながら逆転され、指揮官は「勝ちパターンの継投で行ったので、なんとか1イニングしっかり抑えてほしかった。これはもう僕の責任。継投の失敗」と背負った。勝てば5月16日以来48日ぶりに2位浮上していた一戦。上位チーム相手に策を打ったが、結果的に失敗した。【前山慎治】

 

▽広島森浦(5-5の8回に登板。2死二塁から吉川に決勝適時二塁打を許し、今季初黒星)「(外角低めカーブを)うまく拾われた。打たれたらダメなところで打たれた。反省して次は抑えたい」

○…マクブルームが一時同点となる2点適時二塁打を放った。2点を追う7回2死一、二塁。巨人赤星の高め速球を右翼線へはじき返し、走者2人をかえした。「完璧ではないが良い感触はあった。同点打で良い一打だった。ただ、チームが負けてしまって、その一打も水の泡となった」と悔しがったが、7月は3試合で11打数6安打2本塁打7打点と好調。新たな「夏男」誕生の予感がする。

○…坂倉が4回に先制打を放ち、連続試合安打を「19」に伸ばした。両軍無得点の4回1死一、二塁。フルカウントから巨人先発堀田の浮いた外角チェンジアップを中前にはじき返した。先制の一打に「先輩2人がつないでくれたので、チャンスをものにできて良かった」。1死から連打でチャンスをつくった菊池涼、マクブルームの勢いをつなげた。

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