阪神は21日、来春の23年から2軍春季キャンプ地を高知・安芸市から沖縄・うるま市に変更すると発表した。練習拠点は同市内の具志川野球場。1、2軍とも沖縄でキャンプを張る。西宮市内で取材に応じた百北幸司球団社長(61)は「うるま市とはキャンプ開催を機にスポーツ振興などの面でも手を携えて長期的な視点で取り組んでいきたい」と、今後の関係構築に力を注ぐ考えを示した。

移転のメリットは大きい。現在、1軍は沖縄・宜野座村でキャンプを張っており、1、2軍のキャンプ地の距離が約30キロと近くなる。近年はコロナ禍の移動のリスクを考慮して消極的だったが、選手の入れ替えも容易になる。さらに大半の球団が沖縄でキャンプを実施しているため、他球団との練習試合も組みやすい。首脳陣も、両方のキャンプ地を簡単に訪れることが出来る。

具志川野球場はこれまで楽天、韓国プロ野球などがキャンプを張ってきた。室内練習場も併設しており、雨天が多い2月の沖縄でもキャンプの対応が可能。百北球団社長は「今月中には阪神園芸さんにもグラウンドを見に行っていただいて、ちょっと我々の手で整備をしたり」と話しており、2月のキャンプに向けてタイガース仕様にグラウンドの整備を進める。

高知・安芸市の春季キャンプは1、2軍とも65年からスタートした。12年に1軍が2次キャンプ地を安芸市から沖縄・宜野座村に移したが、それ以降も2軍は春季キャンプを同地で継続していた。汗と涙が刻まれた歴史あるキャンプ地だけに「撤退」のインパクトは大きいが、1、2軍合同で行われる秋季キャンプは引き続き、安芸市で実施する予定だ。【桝井聡】