オリックスのエース山本由伸投手(23)が8回4安打無失点で、リーグ一番乗りで10勝目をマークした。最速157キロの真っすぐとカーブの緩急を有効に使い、ソフトバンク打線に二塁を踏ませず9三振を奪った。前半戦最後の登板で「先発投手の1つの合格ライン」と設定した2桁勝利を2年連続でクリアし、「もっともっと勝ち星を積んでいきたい」と力を込めた。

ただ慢心はなく、120球を要したことに「今日はボール球も多く、球数もかさんでしまった」と反省。初回2死から3番柳田に許した四球に「スムーズに入れなかった」と頭をかいた。仲間に背中を押され、乗った。今季初めて1番に入ったベテラン安達が、初回は四球を選んで5番杉本の適時打で先制のホーム。「味方に点を取ってもらって、その後、力抜けた。何とか8回まで行けました」。

救援陣の気持ちを理解し、1つのアウトでも多く奪う。チームは3連投をさせない方針で、近藤、阿部がベンチを外れた。エース右腕は「1イニングでも長く投げられた方が、中継ぎの人の緊張を抑えられる。1人、休息になると、パワーを違う場面で使うことができる」。自身も18年に救援で54試合に登板。主に「8回の男」を任された。

「あのとき、西さん(阪神)は7、8回まで投げてくれるだろう…と予想できるぐらい、ブルペンはリラックスできていた。イニングを計算できる(先発)投手は、メンタル面の負担も軽減できる。だから、1試合、1イニング、打者1人、1球…。真剣に投げるんです」

その思いの集積で、MVPや沢村賞を獲得した昨年の8月20日を上回る早さで2ケタに到達した。中嶋監督は「自分の求めているところが、ものすごい高い選手」と評価。エースの快投で勝率を5割に戻した。依然5位ながらも首位とのゲーム差は3・5。逆転連覇へ、視界が開けてきた。【真柴健】

【関連記事】オリックスニュース一覧