奇跡のドラマを起こす8月だ! 2位阪神が、高校野球期間中に甲子園を明け渡し、最大24試合が予定されている4週間の夏の長期ロードに臨む。コロナ禍を経て2日から活動を再開する巨人戦(東京ドーム)の先陣は、勝利、防御率、勝率で3冠に君臨する青柳晃洋投手(28)が切る。前日ヤクルト村上に3打席連発を食らって敗れたショックも振り払い、10差からの首位猛追へ。「新火曜日の男」を託された無双右腕が夏ロードの虎を引っ張る。

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甲子園の大型ビジョンには、「札幌大谷 旭川大」とテスト表示されていた。6日に開幕する全国高校野球選手権大会に向けての準備が着々と進む中、虎の先発陣は投手指名練習で汗を流した。次に聖地に帰ってくるのは4週間後。夏の長期ロードの先陣を切る青柳は、泰然自若だった。

「(チームが)連勝よりは、ちょっと楽な気持ちで投げられます。ほんと、8連勝とかでこられると、すごい困るので(笑い)。いいことですけど。自分で止めちゃうよりは、ここから連勝が続くように、まずは1勝目。個人的には楽というか、ほんと、何も考えずに投げることができます」

前夜はヤクルト村上に3打席連発を許して逆転負け。ショッキングな敗戦で連勝は5でストップしたが、笑い飛ばす姿が頼もしい。まずは会心のG倒で村上ショックを吹き飛ばす。

チームは球宴後、先発ローテを再編。これまで週末だった無双右腕に今季初めて火曜日を託し、6連戦の頭を取りにいく。首位ヤクルトとも8、9月に1度ずつ週初めに直接対決がある。ネバーギブアップの戦いで、新火曜日の男に託された期待は大きい。「何曜日でも先発が長いイニングを投げた方がいい」。夏場のリリーフ陣の負担減も大きな役割だ。

防御率1・37、勝利数11、勝率9割1分7厘はでリーグトップ。92奪三振は1位の中日柳に2差で、球界13人目、球団初の「投手4冠」も射程圏だ。「(登板は)あと8試合か9試合だと思う。その全てをベストなゲームにできるように。その結果タイトルが取れたらすごくうれしい」。昨季は8、9月の登板7試合で2勝3敗、防御率4・85。失速が逆転V逸にもつながった苦い教訓も胸に、同じ轍(てつ)は踏まない。

2日に対戦する巨人はコロナ禍で7月20日以来のゲームとなる。“病み上がり状態“だが、「相性うんぬんよりも、どうにか勝てる投球をしたい」と隙はない。伝統の一戦は自身3戦2勝、防御率1・57と好相性だ。矢野監督が「ドラマを起こせると信じて戦っていきます」と繰り返してきた言葉を現実にすべく、背番号50が先頭を走る。【中野椋】

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