どん底から天国だ。阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(32)が、千載一遇のチャンスをモノにした。1点リードの4回2死一塁。大瀬良のカットボールを一閃(いっせん)した。打った瞬間スタンドインを確信。ゆっくり一塁へ歩き出した。右中間席へ約3週間ぶりの5号2ランで3点差に広げ、勝利を引き寄せた。

ロハス 大山選手が抜けた穴を何とか埋めようと必死でした。自分自身にもチャンスだと言い聞かせながら打席に立ちました。(一塁走者の)ロドリゲス選手が足が遅いので、本塁打でよかったです(笑い)。

思いがけない形でチャンスが巡ってきた。不調で前日4日に出場選手登録を抹消された。だがこの日、大山、北條が新型コロナの陽性判定を受けたことで、特例2022の代替選手として“中1日”で異例の再昇格。いきなりの「7番左翼」起用に最高の結果で応えた。1点差まで迫られただけに大きな1発になった。

ロハス 昨日抹消されて残念だったけど、昇格させていただいたので、何とか自分のものにしようと。監督に出してもらったことにすごく感謝して、良い準備ができました。

若き主砲からメンタル面でヒントを得た。4番に座る佐藤輝の前向きな姿勢に感銘を受けたという。

ロハス 彼は試合結果が悪くても『今日は今日。明日は良くなる』と。良いメンタリティーを持っている。僕は『あぁー、今日の試合で…昨日の試合で…』と落ち込んでしまう。彼のパワーはみんな知ってるけど、メンタリティーが良い特徴。彼は私のスターだ。

心の切り替え方を学んで実践し、結果につなげた。

矢野監督も絶賛した。「(2軍に)落ちて、気持ちも落ちたと思うけど、またすぐ戻ってすぐ打ってくれて助かった。本人も自分のためにも、チームのためにも価値ある1発だった」。 今季は2年契約の最終年。4日の降格時は打率1割台に低迷し、このまま2軍なら…と思わせた。それが一夜でシンデレラボーイに大変身の逆転人生。「必死のパッチ」でチームを救い、自身も救い、残留を猛アピールした。【古財稜明】

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