来季開幕投手争いに、早くも名乗り!? 日本ハムの変則右腕、鈴木健矢投手(24)が、11日西武19回戦(札幌ドーム)にプロ3年目で初先発。自己最多の105球を投げ、7回途中8安打2失点でサヨナラ勝ちを呼び込んだ。勝敗は付かなかったが、新庄剛志監督(50)も絶賛の好投だった。チームは引き分けを挟んで3連勝。首位西武相手に、2カードぶりの勝ち越しを決めた。

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これがBIGBOSSがかけた、魔法なのだろうか。入団以来、一貫してリリーフだった日本ハムの変則右腕・鈴木が、首脳陣の期待を大きく上回る投球で、劇的勝利をお膳立てした。プロ初先発で6回1/3を8安打2失点の投げっぷりに、次戦も先発起用を即断した新庄監督は「打ちやすそうで、打てない。次も今日ぐらいのピッチングをしてくれたら、来年の開幕投手、あるんじゃないですか?」と、早くも来季の開幕投手候補に挙げた。

投げている本人ですら「3回からは未知の領域。まさか、7回途中まで行けるとは」と、驚いた。2軍で先発調整した際も、2イニングで降板。本格的な先発登板となると、社会人の名門JX-ENEOS(現ENEOS)時代の18年以来、実に4年ぶりだった。試合前に「“のらりくらり”でいい。なんとか、長いイニングを投げてもらう。10点以内に抑えてもらえたら」と新庄監督から励まされた鈴木は「気が楽になった」。1回、源田&森の左打者コンビに2連続二塁打され先制点を許したが、4番山川を筆頭に右打者は、ほぼ封じた。

もともと横手投げ。今春のキャンプで、ロッテで活躍した名サブマリン渡辺俊介が大の苦手だったというBIGBOSSから、下手投げ挑戦を提案された。今では横、下と変化自在だが、この日は、主に下手投げを選択。鈴木は「クイックを使ったり、うまく緩急を使えた」。最速は130キロ台前半、90キロ台のカーブにスライダー、シンカーで山賊を撃沈したのだから、痛快だった。

下手投げという武器を手に入れたことで「先発という新しい道が開いた」と、意気込む鈴木。チームは今季5度目のサヨナラ勝ちで、2カードぶりの勝ち越し。首位たたきに成功した。【中島宙恵】

◆プロフィル 1997年(平9)12月11日、千葉・袖ケ浦市生まれ。176センチ、80キロ。右投げ左打ち

◆球歴 8歳から野球を始め、袖ケ浦長浦中、木更津総合を経て、社会人JX-ENEOS入り。19年ドラフト4位で日本ハム入団

◆2枚看板 木更津総合2年秋、1年生左腕の早川隆久(現楽天)と左右の2枚看板で秋季関東大会準優勝。15年春に44年ぶりのセンバツ出場を果たした。甲子園では2回無失点

◆国際大会2勝 社会人時代の17年にアジア選手権代表に選ばれ、2試合に2番手で登板。金メダル獲得に貢献

◆マッシー絶賛 20年、日本人初のメジャーリーガー村上雅則氏が新人合同自主トレを視察。「打者が打ちづらそう」と太鼓判

◆グラサン トレードマークのサングラスは社会人時代から使用。視力は両目とも0・3ほど。調光レンズで濃淡が変化しナイターにも対応

○…今川が9号2ランを放った。1点を追う5回1死三塁で初球を振り抜き、左翼席に一時逆転となる一発を突き刺した。前日10日、延長12回2死で空振り三振。最後の打者となり、引き分けに終わった。「全然眠れなかった。すごく悔しくて」。試合前練習で、新庄監督からボールをバットの芯に当てることを意識するよう助言を受けた。うまく実践し「ボスのアドバイスが実を結んだ」と感謝していた。

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