泥沼8連敗もあきらめん! 阪神佐藤輝明内野手(23)が復活のアーチを放った。6回にヤクルト高橋から左翼に17号2ラン。8月初アーチで、7月30日ヤクルト戦(甲子園)以来、61打席ぶり。前日16日に打撃不振のため、4番から6番に降格。同日のマルチ安打に続く1発で、復調をアピールした。

 

黄色に染まる神宮左翼スタンドが揺れた。低弾道の白球が最前列に飛び込み、大きくはずむ。佐藤輝は何度もうなずき、ベンチ前で迎えられた。自身今季最長60打席連続ノーアーチから脱出。久々の感触が復調の証しだ。

「いや~もう、いいピッチャーだったんで、タイミングを早めにとって、とにかく強く自分のスイングをするように意識しました」

3点ビハインドの6回無死一塁、17号2ランで1点差。左腕高橋から通算9打席目での初安打が本塁打となった。8月初アーチは、7月30日ヤクルト戦(甲子園)以来、15試合ぶりの1発。連敗中の重苦しいムードが一瞬、晴れた。

前日16日に4番から6番に降格し、マルチ安打を決めていた。クリーンアップを組んでいた大山、近本がコロナ禍で離脱する中、4番に集まる重圧も快音を遠ざけた要因の1つだろう。「最近、全然打ててないんで、毎打席どうやったら打てるか考えてやっている。久しぶりに打てたので、すごいうれしかったです」。強く、鋭い逆方向弾でまたも上昇ムードを示し、矢野監督も「良くなってきてる感じはする」とうなずいた。

やられっぱなしで終われない。3回2死満塁では遊飛に倒れ、バットをたたきつけた。直後の3回裏、村上が先制3ラン。相手主砲に、その差をまざまざと見せつけられていた。「点取っていかないとズルズルいっちゃうところ。そういう意味ではホームランで点取れたのはよかったと思いますけど…」。そこまで言うと、1点ビハインドの8回、清水から放ったフェンス手前の右飛を悔やんだ。「その後、続かなかった。そこを打てるように頑張ります」。1本では満足せず、前を向いた。

チームは泥沼の8連敗。プロ最多12奪三振の同期入団伊藤将の力投にも応えられなかった。「頑張って投げてくれたので追いついて逆転したかったですけど、う~ん、悔しいですね」。シーズン2度の9連敗となれば、「暗黒時代」99年以来、球団2度目の悪夢となる。「いる選手でしっかり力を合わせてやるしかないので、はい。頑張ります」。トンネルを抜けた背番号8が、チームも暗闇から脱出させる。【中野椋】

▽井上ヘッドコーチ(佐藤輝の本塁打に)「追いつけるんちゃうか、というような意味のある1本ではあったけど、他の打席で反省しなきゃいけない打席もある。そういったところで、これから下ばっかり向いているわけにはいかないので上を向く、光のある打席にしてもらえたらいい。それを材料にして、こっちはどんどん『おらあ、輝、昨日みたいな感じでいけ』というような感じで尻をたたいていく、そういう感じですね」

▽阪神井上ヘッドコーチ(佐藤輝の本塁打に)「追いつけるんちゃうか、というような意味のある1本ではあったけど、他の打席で反省しなきゃいけない打席もある。そういったところで、これから下ばっかり向いているわけにはいかないので上を向く、光のある打席にしてもらえたらいい。それを材料にして、こっちはどんどん『おらあ、輝、昨日みたいな感じでいけ』というような感じで尻をたたいていく、そういう感じですね」

▼佐藤輝が7月30日ヤクルト戦以来、61打席ぶりの本塁打を放った。60打席ノーアーチは今季最長ブランク。50打席以上の本塁打なしは今季5度目となった。なおプロ最長は91打席で、21年8月20日中日戦第1打席から10月23日広島戦第3打席にかけて不発だった。

▼阪神は8月9日DeNA戦から8連敗。今季は開幕9連敗を喫しており、8連敗以上はシーズン2度目となった。これは、07年の9連敗と8連敗各1度以来、6度目。なお、18日も負けると同一シーズン9連敗以上が2度目となり、99年(9連敗、12連敗)以来。

○…2試合連続「4番左翼」でスタメン出場したロハスが攻守で貢献した。得点にはならなかったが、初回2死一塁でヤクルト高橋の直球にうまく合わせて左前打。左翼の守備では、2回1死二塁で、浜田のフェンスぎりぎりの当たりをジャンプしながらキャッチ。主力の離脱で苦しい中、助っ人が奮闘している。

○…山本が初回1死でヤクルト高橋の直球に強振。全力疾走で遊撃への内野安打とした。今季42安打目で、巨人時代の19年を超え、シーズン自己最多を更新した。7月26日に新型コロナに感染。一時チームから離脱していたが、今月9日に1軍復帰。遊撃中野らが不在の中、代役として二遊間の守備に就き、チームを支えている。

○…18日ヤクルト戦に先発する西純が、相性のいい敵地で今季4勝目を狙う。神宮では5月18日にプロ初完投と豪快な初アーチを放った。「いいイメージはある。でも、首位のチームなのでしっかりと集中しながら、自分の投球できるように頑張りたい」。打撃にも期待がかかるが「メインはピッチング。でも自分のできることは一生懸命やりたいなと思います」。この日はキャッチボールなどで登板に備えた。

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