頼れる主砲が完全復活や! 阪神大山悠輔内野手(27)が1試合4安打の大暴れで、長期ロード期間中では40年ぶりとなる巨人3連戦3連勝に貢献した。8回1死満塁で中前にダメ押しの2点適時打を放ち、満塁男ぶりを発揮。新型コロナウイルス感染から復帰3戦目で復調をアピールした。チームは4連勝で、借金完済に王手をかけた。

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視線の先で、二塁走者江越がホームベースを駆け抜ける。大山は一塁ベース付近で走者2人の生還を見届けると、控えめに拍手を繰り返した。「その前の満塁でゲッツーを打ってしまっていた。あそこで点を取れていれば、もっと楽な展開に持っていけた。それでも才木が粘ってくれて、次も満塁でチャンスが来た。なんとしても、という気持ちでした」

4点リードの6回表1死満塁では遊ゴロ併殺打に倒れていた。3点差に縮まって迎えた8回表1死満塁。今度は左腕高梨のカットボールを丁寧に振り抜き、ライナーで中前に弾ませた。ダメ押しの2点打は雪辱を果たす一打でもあった。今季は満塁の打席で12打数7安打、打率5割8分3厘、17打点。「満塁男」の面目躍如といったところだ。

東京ドームは思い出の地でもある。幼少期は祖父に連れられ、何度となく地元茨城から通った。東京ドームシティのバッティングマシンを楽しみ、巨人戦を観戦。小学4年生だった04年8月17日には、41歳工藤公康の通算200勝達成にも立ち会った。「あの日、工藤さんはプロ初本塁打まで打った。本当にすごかった」。あれから18年、少年は憧れられる存在へと変貌を遂げている。

1回1死一、二塁で三塁内野安打を放ち、6番糸原の中犠飛をお膳立て。3回は左前に運び、5回は三遊間を破った。20年10月16日ヤクルト戦以来、2年ぶり5度目の1試合4安打だ。まだ新型コロナウイルス感染から復帰3戦目。実戦勘のズレは「ないことはない」が、先発野手全員安打、毎回安打の16安打6得点を先導。チームを4連勝、さらには07年以来15年ぶりとなる年間2度目の巨人3連戦3連勝にけん引した。

コロナ陽性判定を受けて、5日に離脱。発熱で3、4日間も寝込みながら、仲間が8連敗に苦しむ映像を目に焼きつけた。

「チームを信じて、なんとか頑張ってくれと思って見ていました。結果はああいうふうに勝てなかったけど、みんながなんとかしようと頑張ってくれているのは分かっていた」

今度は主砲が仲間を支え抜く番だ。【佐井陽介】

▼大山が今季初めての4安打。4安打以上は、20年10月16日ヤクルト戦(甲子園)での4安打以来、5度目。巨人戦、東京ドームともに4安打は初めて。

▼大山が8回に満塁から適時打。大山は今季満塁に強く、12打数7安打、17打点、打率5割8分3厘と塁状況別でもっとも高い打率をたたき出している。また、満塁での7安打は12球団トップ。2位村上(ヤクルト)の6安打を上回っている。

▼大山がコロナで離脱した8月5日から復帰するまでの12試合は3勝9敗と大きく負け越した。一方、復帰後は3戦全勝と勢いをもたらしている。

○…1番中野が今季12度目の猛打賞で、打線を活気づけた。初回に巨人シューメーカーから左前打で出塁。8回には左前打、9回は大勢の152キロ直球を左前へ打ち返した。「最初はボールの見え方も良くはなかったんですけど、自分の感覚も戻ってきました。体の状態としては非常に良い」。新型コロナ復帰戦だった18日ヤクルト戦から4試合連続安打と絶好調だ。

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