中日柳裕也投手(28)が、気迫と粘りで8勝目をつかみ取った。

4回、大山の痛烈なライナーを右膝上部に受けた。無死一、二塁とピンチを背負うも、治療を経て志願の続投。気迫の3者連続三振で脱出し、6回を4安打無失点で投げ終えた。102球を駆使する粘投で、勝利を呼び込んだ。

「不甲斐ないピッチングが続いて抹消になったので、今日にかける思いは強かった。(打球直撃の際も)マウンドを降りる選択肢は僕にはなかった。見ての通り、足に当たった後の方が調子はよかったです」。お立ち台に向かう際、少し右足をひきずりながら歩き、ファンをドキドキさせたヒーローは「痛いふりです」と言いながら、勝利の味をかみしめた。

16日の広島戦で6回5失点。3本塁打を浴び、9敗目を喫した。18日に出場選手登録を抹消され、再調整に時間を費やした。強い思いを胸に臨んだ12日ぶりの登板を、白星で飾った。「(捕手の大野)奨太さんに引っ張ってもらって抑えることができたと思います」と、今季初めてバッテリーを組んだ先輩への感謝も忘れなかった。【安藤宏樹】

○…岡林が、虎のルーキーから値千金の先制打を放った。5回まで阪神森木に1安打に抑え込まれていたが、0-0の6回2死三塁で152キロ速球を右前に運んだ。「(3ボール1ストライクと)有利なバッティングカウントだったので思いっきりいきました」。直後に二盗を決め、阿部の2点適時二塁打にもつなげた。先発の柳にも白星を贈り、売り出し中の1番打者は会心の笑顔を見せた。

▽中日立浪監督(阪神森木について)「完全に力負けしていた。思っていた以上にいいピッチャーだなと。何よりストライク先行できる。これから変化球の精度が上がっていくと、やっかいなピッチャーになる。真っすぐが速いのも最大の武器。手ごわい投手が出てきたと思います」