仙台大の「正捕手」が、景気づけの1発を打ち上げた。5番坂口雅哉捕手(3年=八王子学園八王子)がバイタルネット(新潟)戦で今季オープン戦3号ソロ。1-3の4回1死、内角直球を引っ張り、右翼防球ネット越えの特大アーチを描いた。3日に開幕の仙台6大学野球秋季リーグ戦に向け、大きな弾みをつけた。

会心の感触を手に残したまま、坂口はダイヤモンドを周回した。「手応えは、完璧でした」と自画自賛の一振りだった。

打球の行方を見届ける、必要はなかった。1-3の4回1死。内角真っすぐの初球をかち上げた。右翼の防球ネットを越える豪快なソロアーチ。今季オープン戦3号。開幕を3日後に控えた秋本番を前に、調子は右肩上がりだ。「感触は悪くない。守備と打撃で考えを割り切って、打席の中で集中できている」と納得の表情を浮かべた。

好調の要因は試行錯誤でたどり着いた打撃フォームにある。今春リーグ戦は11試合に出場し、2本塁打を含む33打数8安打で打率2割4分2厘。持ち前の長打力こそ発揮するも「納得のできる結果ではなかった」と振り返る。課題はボールを仕留める確実性にあった。夏場は小野寺和也コーチの指導を受けながら、徹底してスイング軌道を見直す時間に充てた。坂口はこう言う。「しゃくり上げてたスイングを、縦ぶりにするイメージに変えた。これがしっくりきている」と1つのきっかけをつかんだ。

昨秋は17年秋以来となるリーグ優勝を果たし、東北地区大学野球王座決定戦も制し、明治神宮大会初出場を決めた。「リーグ連覇」がかかるが、チーム内にはそんな意識はない。目の前の一戦に集中する。坂口は「良いところで1本が打てる、勝負強さを出していきたい」と言葉に力を込めた。【佐藤究】