巨人中田翔内野手(33)が、ひと振りで試合を決めた。

両軍無得点の7回、チームが1安打に抑えられていた阪神西純の失投を逃さず、決勝の17号2ランを放った。自力CS進出の消滅と復活を繰り返す厳しい状況下で4番が値千金の一撃を見舞い、チームは2連勝。2勝1分けで伝統の一戦では7カードぶりの勝ち越しを決め、順位は変わらず5位ながらも3位阪神と2ゲーム差に接近した。

    ◇    ◇    ◇

「ストライクであれば初球から行く」。中田スタイルを貫き、甲子園の夜空に決勝アーチを描いた。巨人打線が1安打と沈黙する中、7回先頭の丸がストレートで四球を選び、ベンチは増田大を代走に送る。阪神先発の西純が盗塁を警戒したけん制後の初球だった。内角の140キロフォークをフルスイングし、左翼席へ17号2ラン。一塁ベースを回りながらクールに右拳を突き出した。

西純は手ごわい。「すごい良いピッチャーだなと。打席中に配球をしっかり考えなければいけない」と1打席目で悟った。遊ゴロ、3球三振と抑え込まれて迎えた第3打席。「外の力ある真っすぐに目付けをしている中で、抜けたフォークに反応できた」。ファーストストライクは全て狙う。8月23日に通算1000打点を達成した際に真っ先に語った信念。その積極性を貫き、緊迫する試合を決めた。

「0行進」を続けていたルーキーも援護した。「赤星がすごく良いピッチングをしていて、なんとかしてあげたかった」と柔らかい笑みを浮かべた。

CS進出へ崖っぷちに立たされながら試合に臨む。3位阪神との3連戦で貴重な勝ち越しを決めたが「阪神戦というよりも1戦1戦の気持ちだった。自分たちのできることを精いっぱいやっていくだけ」と前だけを見据えた。【三須一紀】

▽巨人原監督(中田の決勝本塁打に)「あそこの1発でよく仕留めてくれたなという感じがします」

○…原監督が攻めの采配で試合を動かした。7回、四球で出塁した先頭丸に代走増田大を起用。1安打投球だった阪神西純に重圧をかけ、中田が初球を仕留めた。「気持ち良く投げてもらいたくないというか、1割でも2割でも3割でも一塁走者に気を取られてくれるようなね」と説明した。3位以下は混戦で正念場は続くが「これがプロ野球の醍醐味(だいごみ)。我々もそこをあえて望んでいくように戦っていきたい」と力を込めた。

【関連記事】巨人ニュース一覧>>