プロ初勝利! 広島森翔平投手(24)が中日22回戦(バンテリンドーム)に先発し、5回1失点。キャリア1勝目を挙げた。

立ち上がり苦しみ、初回にわずか8球で先制点を献上したが、その後は粘った。5イニングで3者凡退は4回の1度しかなかったが、追加点は与えなかった。21年ドラフト2位のルーキー左腕がうれしい1勝目。プロとして1つ、歩を進めた。

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開幕から129試合目にして、ドラフト2位ルーキーの森がプロ初勝利をつかんだ。「素直にうれしい。野手や中継ぎに助けてもらったので良かった」。5回1失点で最低限の役目を果たした。

6月に1軍初昇格を果たしたが、登板は中継ぎ5試合にとどまり、わずか1カ月で降格。その後は2軍暮らしが続いた。「結果も出ず、『何してるんだろう』と焦る気持ちもあった。だが1つ1つ課題をクリアして」と前を向き続けた。

そしてチャンスをつかんだプロ初先発。佐々岡監督からは「小さくまとまるな」。大瀬良からは「やることはやっているんだから思い切って投げてこい」。先輩たちから言葉をかけられ、人生初のバンテリンドームのマウンドに上がった。

しかし、「ふわふわしてた」と序盤は苦しんだ。初回に四球と暴投で無死二塁とし、大島に右翼線へ適時二塁打を許した。打者2人わずか8球で先制点を与えた。だが、その後は粘った。西川の適時二塁打で同点に追いついた直後の4回は唯一の3者凡退。追加点は許さなかった。

同点の6回先頭に代打を送られ、降板。「代打が送られたときに秋山さんに『祈っとけ』と言われて。『マジで頼む』と本当に祈っていて。その祈りが通じた」。坂倉が同点の6回2死満塁から勝ち越しの2点適時打を放ち、勝ち投手の権利が舞い込んだ。

ようやくつかんだプロ1勝目。佐々岡監督は「5回1失点は十分な働き。粘り強く走者を出しながらも最少失点で抑えた」と目を細める。左腕の好投もあり、チームは今季3度目の5連勝。1ゲーム差に迫った3位阪神をピタリ追走している。森自身も「CSもある。なんとしてでも勝てるような投球をしていきたい」。逆転CSへ、希望のバトンをつないだ。【前山慎治】

◆森翔平(もり・しょうへい)1998年(平10)1月1日生まれ、鳥取県出身。青谷小1年時から青谷スポーツ少年団で野球を始め、小6時に全国大会で準優勝。青谷中では鳥取クラウンボーイズに所属。鳥取商から関大に進学し、4年時には明治神宮大会で準優勝へ導いた。20年から三菱重工神戸・高砂(現三菱重工West)でプレー。177センチ、80キロ。左投げ左打ち。広島 

○…2戦連続1番起用の広島堂林が複数安打&複数得点で打線をけん引した。1点を追う4回に中前打で出塁すると、西川の適時二塁打で生還。同点の6回無死一塁でもセンター返しで好機を広げ、坂倉の決勝打をお膳立てした。「あまり細かくは考えず、来た球をしっかり振れるようにと思って今日も打席に立ちました」。2戦連続マルチ安打で、松葉攻略に貢献した。

○…広島が前日の柳に続き、難敵松葉に今季初めて黒星をつけた。決勝打は坂倉だ。同点の6回2死満塁から2番手福の直球を引っ張った。右前への勝ち越し2点打を放った。「ベンチで見ていて、真っすぐが強かった。真っすぐから入っていこうという気持ちで一番速いのに合わせた。先輩たちが必死につないでくれたので」。三振の秋山、四球の西川が2人で投げさせた19球を無駄にはしなかった。

○…中継ぎ4投手が無失点リレーだ。6回は森浦が1死一塁から併殺。7回はケムナが2死二、三塁とするも、阿部からこの日3つ目の三振を奪って切り抜けた。8回からは矢崎、栗林が完全投球で締めた。佐々岡監督は勝ちパターンの2投手に「いい形になっていると思います」と信頼。ともに連投ながら「当然(明日も)シチュエーションであれば行ってもらいます」と逆転CSへフル回転を期待した。

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