惜しい~、あと数センチだったのに…。阪神佐藤輝明内野手(23)が、ホームラン級の特大二塁打で上昇ムードを示した。2点リードの2回先頭、1ストライクからDeNA上茶谷の内角144キロを強振。打球は右翼フェンス最上部の黄色い角部分に直撃したとみられ、グラウンド側へ、大きく斜め上へと跳ね返った。矢野監督はスタンドインを疑い、すぐさまリクエストを要求。判定は覆らなかったものの、わずかに上をいけば本塁打となる強烈な当たりだった。

リーグトップを快走する32本目の二塁打。それも、内角攻めに屈せず、はじき返したのだから価値がある。「(昨年の)ルーキーの時に24本かな。『昨年に届かないのはちょっと恥ずかしいでしょ』、『お前、20本も届かず終わっていいの』とプレッシャーをかけながら。高校野球のトーナメント戦くらいの気持ちでやれよ、と言おうと思う。最後に見せてほしい」。試合前まで66打席ノーアーチで、井上ヘッドコーチからそうハッパをかけられていた。「今、状態良くないよね」と語っていた矢野監督を含め、周囲の心配も少しは晴れる放物線となったはずだ。

一方で相手4番には、まざまざと実力を見せつけられた。24号ソロを含む2安打3打点のDeNA牧に本塁打だけでなく、これで打点数でも追い抜かれた。同学年のスラッガーにやられっぱなしでは終われない。今季ビジター最多4本塁打、打率3割3分3厘と好相性の横浜スタジアムで息を吹き返し、10日の今季レギュラーシーズン同球場最終戦で久々の1発に期待がかかる。泣いても笑っても残り13試合。新人から2年連続20本塁打、さらにクライマックスシリーズに向け、一振りで流れを変えたい。【中野椋】

○…糸原がキャリア4度目となる年間100安打をマークした。2番・三塁で先発出場し、3回1死でDeNA先発の上茶谷から中前打。プロ2年目の18年に152安打をマークし、19年は131安打。20年は年間64安打に終わったが、21年の126安打に続いて今年も大台に乗せた。

○…近本がヤクルト村上に1差をつけ、リーグ最多145安打で単独トップに立った。初回無死一、二塁でDeNA上茶谷のカットボールを捉え、右前に先制タイムリー。上茶谷の連続四球から生まれた好機で「相手からもらったチャンスだったので、思いきってスイングしていこうと思っていました」と振り返った。3回1死一塁では中前打を放ち、3日巨人戦以来のマルチ安打を記録。2年連続最多安打に前進した。

○…4番大山は連続試合安打が13で止まった。1点をリードした直後の1回無死一、三塁では上茶谷から右犠飛。ただ、3回1死一、二塁で左飛に倒れるなど、この日は2打数無安打1四球。チームは2位DeNAに大敗を喫し、厳しい表情で球場を後にした。

【関連記事】阪神ニュース一覧>>