阪神が痛い一戦を落とした。Aクラスを争う4位広島との第1ラウンド。先発の青柳晃洋投手(28)が、昨季最多勝同士の広島九里との対決で、6回5安打5失点(自責4)と崩れた。ライバルとのゲーム差は1に縮まり、14日も敗れれば同率3位で並ばれる。

青柳は3回まで無失点に抑えたが、4回1死一、三塁で併殺かと思われた小園の当たりを遊撃中野が悪送球して先制点を献上。磯村にも中越え二塁打され、2点目を与えた。6回は羽月に適時二塁打を浴びるなどさらに3失点。エースの背信に甲子園がため息に包まれた。

矢野監督は2点を追う4回2死一、三塁の好機で青柳に代打を送らず、奮起を信じて打席に立たせた。だが、期待に応えることはできなかった。前半戦は破竹の勢いで、11勝をマークしたが、8月2日の巨人戦を最後に6試合連続で勝ち星がない。12勝は依然リーグトップだが、防御率も2.02と初めて2点台に下降。右腕は珍しく降板後のコメントも残さず、ベンチでナインのプレーを見守った。

矢野監督は「先頭にフォアボールを出したり、粘り切れなかったところをヤギ自身も反省してると思う。それでも踏ん張って欲しいのが、今のヤギの立ち位置」と厳しく指摘。青柳が失速したままでは、この先の勝利も望めない。

14日の広島戦に敗れると17年連続で優勝が消える。広島だけでなく、5位巨人にも1ゲーム差に迫られた。Aクラス死守のために、もう1つも落とせない。【三宅ひとみ】

▼阪神は14日の広島戦に敗れると、今季優勝の可能性が消滅する。ヤクルトの試合予定のない同日に阪神が敗れ、その後の残り8試合に全勝しても、最終成績は72勝68敗3分けで勝率5割1分4厘。ヤクルトが残り15試合に全敗しても、73勝68敗2分けで5割1分8厘となり、阪神を上回るため。13日阪神●ヤクルト○なら阪神のV逸が決まっていたが、ヤクルトも●だったため1日延びた形となった。

○…糸原は大先輩への思いを猛打賞に込めた。練習前は糸井の引退会見にサプライズ登場。1回1死では先輩の代わりにSMAPの「SHAKE」を登場曲に選び、中前打を決めた。「歳は離れているけど、本当に仲良くしてもらった。室内で準備を怠らない姿勢とかはすごく見習うところ。阪神で優勝したいとずっと言われていた。糸井さんの思いもしっかり受け止めて全力でやっていきたい」と前を向いた。

○…近本は両リーグ最速で150安打に到達した。2点を追う5回1死一塁、フルカウントから中前に運び、4番大山の適時打につなげた。シーズン150安打はプロ1年目だった19年からの4年間で3度目。13戦連続安打で、2年連続の最多安打タイトルへ勢いを加速させている。

▼近本が今季の安打数を150本とし、昨季の178本から2年連続で150安打以上となった。阪神の打者としては、13~15年にマートンと鳥谷敬が3年連続で記録して以来。なお球団最長は4年で、今岡誠02~05年、金本知憲03~06年、赤星憲広03~06年の3人。

○…マルテが連日の適時打で気を吐いた。5点を追う8回1死二、三塁で代打出場。カウント3-1から広島矢崎の151キロ直球を左前にはじき返した。「いつでも準備はできていたよ。打つべき球を絞って、しっかりコンタクトすることを心がけた。いい結果になって良かったね」と納得顔。助っ人はこれで5試合連続安打と好調だ。

○…原口が今季初の猛打賞で気を吐いた。「5番一塁」で出場。2、4回には九里から、8回には矢崎から全て左前打をマーク。8回の一打はマルテのタイムリーを呼んだ。3安打は19年9月4日DeNA戦以来3年ぶり。引退を発表した糸井については「すごくプロフェッショナルな部分を感じていた。長くレギュラーでやってきた野球に対する姿勢、練習への持って行き方は近くで見ていた。みんなに慕われてるし、尊敬しています」と感慨深げだった。

○…4番大山は中前適時打でしぶとく2戦連続打点を記録した。2点を追う5回1死一、二塁、九里の外角低めスライダーに食らいつき、二遊間を破った。「チカ(近本)が粘ってつないでくれましたし、まずはなんとか1点を返したいと思って打席に立ちました」。3戦連続安打で踏ん張っている。

【関連記事】阪神ニュース一覧>>