オリックスが、天王山の戦いで首位ソフトバンクに先勝した。3連戦初戦に先発したエース山本由伸投手(24)が、6連勝中だった鷹打線をわずか4安打で完封。両リーグトップの14勝目を挙げた。打線は1回の中川圭太内野手(26)の7号ソロなどで2点を奪い援護。ソフトバンクに2ゲーム差に迫った。

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スタジアムがドッと沸いた。9回2死からオリックス山本が113球目でこの日最速の157キロを計測。打者のソフトバンク柳田が目を見開くと、エースは首をかしげた。

「投げたときに声が出たので、みんなそれで笑っているのかなと…不安になりました(笑い)」

白い歯を見せる24歳は、次のボールで空振り三振に仕留め、今季2度目の完封勝利を飾った。9回114球4安打無失点。首位相手にほとんどチャンスを与えない無双投球。最後は女房役の若月と熱い抱擁を交わし、喜びに浸った。

エースの快投で、絶対負けられない3連戦初戦を白星で飾り、ゲーム差を2に縮めた。「もう、絶対勝つしかないと思っていた。気合十分で(マウンドに)上がりました」。言葉通りの投球で、2万7019人の拍手を浴びた。

端正なマスクで視線を集める。「不安がいっぱいあるから一生懸命、練習するんです」。爽やかな表情からは想像できないぐらい、信念を貫く。「僕が心掛けていること…? 自分を信じ切ることですね」とキッパリ。準備段階から不安要素を取り除き、本番を迎える。堂々の投球は「いつも通り」を心掛けるから生まれる。

中嶋監督は「もう(残り)8試合。“ド必死”にやるしかない」と逆転での連覇に力を込める。18日の第2戦には21歳左腕の宮城を自身初の中5日で投入する。お立ち台で山本は背中を押した。「宮城はやってくれる男。朝、しっかりプレッシャーをかけておきます。最後はみんなで優勝しましょう!」。見事に仕事を果たした芯の強い主人公は、しっかり次にバトンを渡した。【真柴健】

○…中川圭が初回1死から決勝7号ソロを放ち、エース山本とお立ち台に上がった。先制弾は高々と舞い上がり、左翼ポール際に着弾。「ファウルになるような角度の打球だったので、自分でも驚きました」。中嶋監督も「あっ!と思ったら(打球が)戻ってきましたね。すごいスライス回転」と喜んだ。

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