ソフトバンクが2年ぶりのリーグ優勝に王手をかけた。選手会長の今宮健太内野手(31)が、同点の5回に決勝の右前適時打。前日に退団を発表した松田宣浩内野手(39)と長年、三遊間でコンビを組んできた今宮は「熱男魂で打つことができました」と明かした。優勝へのマジックは2。30日にも、歓喜の瞬間が訪れる。

   ◇   ◇   ◇

熱き思いがバットに宿ったか。今宮が執念の一打で、試合の流れを引き寄せた。初回に4点を先制も、同点に追いつかれる重苦しい展開。5回2死一、三塁の好機で、初球を右前にはじき返した。「負けられない試合が続く中、ここで何とか勝ち越しを、という気持ちだけでした」。大きな勝ち越しの一打に拳を小さく上げて、ニヤリ。ベンチのナインも跳びはねるように沸いた。

初回にも適時打を放ち、2安打2打点の活躍を見せたヒーローは「熱男魂で打つことができました。みんなの気持ちをひとつにして頑張っていくだけです」と振り返った。前日28日に、ベテラン松田が他球団でのプレーを模索し、退団することを発表した。長きにわたって三遊間でコンビを組んできた今宮は、柳田や中村晃とともに、松田から思いを託されていた1人だ。松田は会見で「柳田、中村晃、今宮。この3人には本当に僕がおらんくなってから引っ張ってもらわないといけないから、3人には話をした」と明かしていた。

先輩の思いを背負うように、松田の代名詞でもあった「熱男!」のフレーズを用いた。「松田さんのいいところをぼくらが受け継いで、ホークスの伝統としてやっていかないといけない。松田さんが残してくれたものは数え切れないくらいある。熱男魂で優勝できるように」。リーグ制覇という結果で応えるのみだ。

優勝へのマジックはついに「2」となった。30日にも、2年ぶりVの時を迎える。選手会長でもある今宮は「なんとか(マジックを)自力で減らしていきたい。すぐそこに優勝という文字がある。なんとか自分たちで取れるように」と力強く言った。藤本監督も「もうオリックスがどうのこうのというより、2つ勝つというつもりでいきたい」。このまま一気にゴールテープを切る。【山本大地】

▽楽天滝中(先発し1回4安打4失点で降板) 腹をくくって投げたんですけれど、これが僕の現在地です。大事な試合でチームの皆さんに迷惑をかけてしまって申し訳ないです。

○…不調のため出場選手登録を抹消されていたグラシアルが、2安打1打点で勝利に貢献したこの日、再昇格し、「8番左翼」で先発出場。初回に3点を加えてなお2死一、三塁で4者連続適時打となる右前打。「自分のスイングをすることだけを考えて打席に入ったよ。走者を返すことができて良かった」。8回には左前打。約10日間のリフレッシュ期間を終え、頼もしい男がVへの最終戦線に帰ってきた。

○…8月に左精巣がんの疑いのため、左睾丸(こうがん)の摘出手術を受けた大関が、復帰後初勝利を手にした。2回途中から救援登板し、2回2/3を2安打1失点。想定よりも早いマウンドだったが「しっかり準備はできていました。勝ち越してくれた野手の皆さんには感謝しています」と今季7勝目に笑顔だった。

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧