磨いた黒バットに、執念が宿った。オリックス福田周平外野手(30)が、1点を追う5回無死満塁から逆転2点適時二塁打を放った。

「みんながチャンスでつないでくれていましたし、なんとか食らいついてランナーをかえしたいと思ってました。良い結果になってくれてよかったです!」

運命を分ける白球が三塁線上を走った。フェアか、ファウルか-。白い粉が飛ぶ。福田のバットコントロールには、数ミリの狂いもなかった。道具を大切にする福田は、試合前に必ずバットを磨く。グリップエンドに残るスプレーの跡をゴシゴシ擦る。「毎日、磨かないと。バットの重さが5~10グラム変わってしまうので」。プロ意識の高さが、打球に乗り移った。

絶対に負けられない戦いで、躍動を続けた。9月30日のロッテ戦(京セラドーム大阪)では、同点の9回2死三塁、カウント3-0から一塁へセーフティーバントを決め、サヨナラ劇場を呼び込んだ。

この日は初回先頭で投手ゴロに倒れるも、一塁へヘッドスライディング。必死に塁をもぎ取ろうと、ユニホームに泥をつけた。リードオフマンの気迫が勝り、大逆転Vを先導。福田こそ、バリバリ最強の背番号1番だ。【真柴健】

○…伏見が負けられない最終戦で3打点を挙げた。2点を追った5回無死満塁で楽天田中将のストレートを右前に運び、反撃開始の適時打。「なんとか気持ちで打ちました!」と福田の逆転打につなげた。さらに3-2の9回1死二、三塁では楽天安楽からダメ押しの2点適時二塁打を放ち、勝利を決定づけた。9回裏は阿部とともに楽天の攻撃を3人で退け、試合を終えた直後にソフトバンクの敗戦で優勝が決まった。ここ一番での勝負強さを発揮した3打点だった。

○…田嶋が今季最短の4回途中4安打2失点で降板し、初の2桁勝利はならなかった。中12日での登板となった左腕は「やることは全部やりました。もちろん勝負ごとなので、勝って終わりたい。チームに貢献できる投球をしたい」と力を込めていたが、今季最終戦で本領発揮はならなかった。

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