球団初の快挙で、自身初タイトルを手にした。日本ハム松本剛外野手(29)が、首位打者を獲得した。今季最終戦の西武25回戦(ベルーナドーム)に「4番DH」で先発も、2打数無安打で交代。打率3割4分7厘で、2位オリックス吉田正に1分2厘差をつけてトップの座を守りきった。右打者でのタイトル獲得は球団史上初めてとなった。

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松本剛は少し笑みを浮かべながら天を仰ぎ、ベンチへと下がった。4回2死二塁、今季最後の打席は遊ゴロに終わった。「4番DH」で先発出場。新庄監督の後押しを受けて、今季最終戦で打率3割5分到達を目指した。「そんな甘くないっていうことが分かりました」。2打数無安打で3割4分7厘でフィニッシュも、2位に1分2厘差つけて自身初タイトルとなる首位打者を獲得した。

松本剛 本当に、僕が取るとは思っていなかったので、ただただ、うれしいです。最後の最後は、意地でも取るぞという気持ちでした。

昨年は1軍出場47試合。長い2軍生活で「安打を打つために、どうしたらいいのかを本当に1年間考えてやっていた」。地道に引き出しを作る作業が生きた。四球が取れないなら…と「4打数2安打」を目標に打席に立ち続け、周囲からの「最初の確変だろ」などの言葉に反骨心を燃やし続けた。規定打席到達まで残り30打席に迫ってから「首位打者」を射程圏に捉えて進んできた。

アクシデントを乗り越えた。7月下旬に左膝を骨折。「心折れてましたね、完全に。もう終わったなと、完全に思いました」。今でも患部は万全ではない中、新庄監督はDHや代打で起用してくれた。「感謝しかないです」。球団史上初の右打者での首位打者獲得を成し遂げた。同監督は「右打者で首位打者。すごいっすね。今年と同じ練習方法でやって欲しい」と来季も期待した。

入団同期の上沢、近藤の投打の軸はまぶしい存在であり続けた。日の目を浴びることは少なかったが、堅実に歩み続けてきた。「僕は長打とか打てるタイプではないので、打率で表現しない限り、この世界で生きていけないなとずっと思いながらやっていた」。背水で臨んだプロ11年目のシーズン。大きな喜びと達成感となって結実した。

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