「村神様」激走でCS突破ヤ!! ヤクルトが2年連続の日本シリーズ進出を決めた。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第3戦で阪神に逆転勝利。リーグ優勝のアドバンテージ1勝を含む4勝0敗で、昨年に続く不敗突破を果たした。

1点を追う7回2死満塁で、村上宗隆内野手(22)の投手内野安打が阪神浜地の悪送球を誘い、走者一掃で3点を奪い逆転した。球団史上初となる2年連続の日本一を目指し、22日開幕の日本シリーズに臨む。

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「村神様」の全力疾走に野球の神様もほほ笑んだ。0-3で迎えた7回、2点を返しなお2死満塁。阪神浜地の6球目、外角直球を捉えた村上の打球はボテボテのゴロだった。それでも必死の形相で一塁へ激走し、最後は頭から一塁へ飛び込んだ。この気迫に押されたか、浜地の一塁へのグラブトスが悪送球となり、ファウルグラウンドを転がった。記録は投前への同点打だが、適時失策で2人の勝ち越しの走者もかえった。村上は立ち上がって状況を確認すると、一塁上で笑った。

「前の打者が必死に粘って、なんとかつなぐんだという姿勢を間近で見てました。いいヒットじゃなかったけど、それも野球なんで。僕の中では満足しています」と喜んだ。

今季56本もの豪快なアーチをかけてきた主砲の珍しい“逆転打”。リードを守り切ってシリーズ突破を決めた高津監督も、場内インタビューで「ムネ(村上)が素晴らしい当たりを最後打ってくれた。持っている男ですね。ナイスバッティングだったと思います」と笑顔で賛辞を贈った。

13日の第2戦で自身CS初の本塁打を放ち、逆転勝利に導いたが「そんなに絶好調という感じではない」と冷静に自己分析する。シリーズ3試合で本塁打は1本にとどまったが、打率3割3分3厘、申告敬遠を含む4つの四球を選び、無傷突破に貢献した。

今季最大にして最後となる大目標への挑戦権を手にした。レギュラーシーズン最終戦の3日DeNA戦で56号本塁打を放ち、史上最年少の3冠王が確定した直後から「日本一連覇に挑戦できるのは僕たちしかいませんし。日本一になるという目標をしっかり持って、ブレずに頑張りたい」と意識してきたゴールだ。

野村監督が率いた90年代の「黄金時代」でも達成できなかった2年連続の日本一へ挑む。「どれだけコンディションを、体と心を合わせるかが大事。まずは勝ちに向かって、必死に野球を楽しみながら勝てるように頑張りたい」。村神様が力強く、「チームスワローズ」を笑顔のゴールテープへと導いていく。【鈴木正章】

▼ヤクルトが2年連続9度目の日本シリーズ出場を決めた。ファイナルSから出場のヤクルトは、昨年の巨人戦が□○○△、今年の阪神戦が□○○○。プレーオフ、CSで2年続けて無敗でシリーズに出場は、79年阪急戦に○○○、80年ロッテ戦に○○○の近鉄以来2度目で、セ・リーグでは初めてだ。

▼7回に5点を挙げて逆転したが、この回の安打数は村上の内野安打の1本だけ。プレーオフ、CSでは80年<3>戦近鉄が7回に3安打で5点、04年1S<1>戦西武が7回に3安打で6点、07年1S<2>戦中日が1回に3安打で5点、19年ファイナルS<3>戦阪神が5回に3安打で5点を記録しているが、1イニングに1安打で5点以上は初めてだった。

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