京大はシーズン最終戦で1982年(昭57)の新リーグ発足後、初となる近大からの勝ち点を獲得した。

「あと1死」で敗北の延長11回2死満塁。3点を追う展開だった。大川琳久外野手(3年=済々黌)が右翼に起死回生のサヨナラ満塁本塁打を放った。

「後ろにつなごうと思っていた。結果的にホームランになって最高の気持ち。(4点ビハインドでも)負けた、とかはなかった」

直前の11回に重すぎる4点のビハインドを背負っていた。近田怜王監督(32)も「今日の試合前に、全員でメールで『優勝はなくなったけど、最後、近大さんに勝って京大になかった歴史を作るチャンスがあるので、みんなで一生懸命、勝ち点を取ろう』と。しんどいなか、支えてくれた4回生の思いが乗ったホームラン。僕が何かをしたというより、選手たちが最後まであきらめなかったのがすべて」と声を上ずらせた。

1勝1敗で迎えた第3戦だった。勝負が動いたのは土壇場の9回だ。2点を追う展開。1死一塁で青木悠真捕手(3年=四日市)が左中間最深部への二塁打で二、三塁に好機を広げた。連続タイムリーで同点に追いついた。さらに1死満塁と攻めたてたが、連続三振に倒れていた。タイブレーク制に入った延長10回も1死満塁のサヨナラ機を築いたが、後続が倒れた。リーグの絶対的王者を2度も瀬戸際まで追いつめていた。チャンスを逃しながら、敗色濃厚の展開をひっくり返した。土壇場で大金星だ。今年から元ソフトバンクの近田監督が指揮を執る。春季リーグは5位に浮上するなど存在感を示してきた。この秋は最下位が決まっているなか、4年生のラストゲームで、すさまじい意地を見せた。

○…プロ志望届を提出したバッテリーは有終の美になった。最速152キロ右腕の水口創太投手(4年=膳所)は3回2失点も、持ち味を発揮。「全員があきらめず、ここまで来た。全員が力を出した試合」。当初は育成でもプロ志望だったが支配下選手登録だけに変更。20日のドラフトを前に「楽しみ半分、不安半分。呼ばれるように願ってます」と話した。愛沢祐亮捕手(4年=宇都宮)は2安打&救援登板。11回に4失点も救われた。「信じられない。夢見心地」と話した。