プロ野球ドラフト会議が20日、東京都内で行われた。今夏の高校野球新潟大会決勝で投げ合った2人の右腕が指名された。夏の甲子園出場の日本文理・田中晴也投手(3年)はロッテから3位で指名された。同校からは21年の西武育成4位の川村啓真外野手(日本文理-国学院大)に続き2年連続で8人目の指名になる。新潟大会準優勝の帝京長岡・茨木秀俊投手(3年)は阪神の4位。同校初の指名選手になった。

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イスに座った茨木は膝の上に両手を組んで名前を呼ばれるのを待った。野球部員68人と一緒にテレビ画面を見守る。阪神から4位指名されるとナインが雄たけびを上げながら祝福にきた。だが、本人は放心したようにイスに座ったまま。「5巡目か6巡目で呼ばれればいい方だと思っていたので、うれしさで固まってしまった感じ」と振り返った。

帝京長岡からプロ野球選手第1号になる。「先発ローテーションを任される選手になりたい。最多勝を狙う」と喜びの衝撃から覚めると、希望で胸を膨らませた。北海道出身だが、甲子園に行くために見知らぬ土地に飛び込んだ。しかし今夏は、初進出した県大会決勝で涙。「高校3年間で甲子園に行けなかった悔しさを、甲子園で晴らす」。帝京長岡のユニホームは阪神と同じ縦じまだ。

直球の最速147キロの右腕。夏の県大会決勝で敗れた日本文理の田中晴也投手(3年)がロッテに3位指名された。リーグは分かれたが、茨木は強烈なライバル心を燃やす。「高校では負けてばかりだったので、次に戦ったら負けない。絶対勝つ」。リベンジの思いは、厳しいプロ生活を乗り切るためのモチベーションになる。【涌井幹雄】