まさかの阪神3位指名に体が固まり、しばらく動けなかった。関東第一・井坪陽生(ひなせ)外野手(3年)は「予想していなかったので、びっくりしました。そこまで早い指名とは。指名されればいいぐらい気持ちだった」と驚きの表情を浮かべた。関西になじみはないが「3年間甲子園を目指してダメだったけど、プロという形で行けるのはうれしい。ファンの方が熱いところだと思う」と目を輝かせた。

高校通算32本塁打の長打力に、50メートル6秒0俊足、最速144キロ投手も務めた強肩が武器だ。「トリプルスリーを目指したい。足もアピールポイントです」。バットを高く掲げる特徴的な打撃フォーム。子供のころは西武ファンで、憧れの中島(現巨人)浅村(現楽天)に影響を受けた。阪神では「井上選手に長打を飛ばすポイントを聞きたい」と話し、岡田監督にも「プロの世界での変化球の対応を聞いてみたい」と貪欲だ。

八王子シニア時代にU15で日本代表入りした。高校では1年秋に4番を打った。2年の春夏はベンチを外れたが、平凡な飛球での全力疾走など取り組む姿勢を見直し、再び主軸となった。米沢監督は近年の同校OBと比べ「オコエ(楽天)石橋(中日)よりも高校での打撃は上。足もある」と能力に太鼓判を押した。

陽生の名前は母朋子さん(53)が「周りを明るく照らすように」と名付けた。「レギュラーを取りたい。早く1軍レベルに対応したい」。虎の光となるべく、自分を磨き上げる。【斎藤直樹】