将来ちゃうよ、今よ-。阪神岡田彰布監督(64)が21日、ドラフト1位の中大・森下翔太外野手(22)に1年目からのクリーンアップ奪取を指令した。

指名あいさつで東京・八王子市内の同大学を訪問。「クリーンアップは今でも空いている」と挑戦心をくすぐった。中大の先輩で1年目から3割20本塁打を達成したDeNA牧も例に挙げ、同じドラフト1位の大山、佐藤輝との20発クリーンアップ結成を期待した。

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岡田監督は間髪入れずマイクを手に取った。森下選手は将来クリーンアップを-。会見場に質問者の声が響くと、すぐさま時期の修正に取りかかった。

岡田監督 いやいや、クリーンアップ、1つ空いてるんですよ、今でも。将来じゃなくてもいいですよ。

指名あいさつの冒頭では早速、来春の1軍キャンプスタートをドラフト1位に通達。大学侍ジャパンでも主軸を担った右の長距離砲への評価はそれほど高い。

岡田監督 守備も走力もAランク。最初から外野の一角、レギュラーを取る気持ちでやってもらえれば。可能性は十分にある。

自身は大卒1年目の80年、ブレイザー監督の「新人はすぐには使わない」という方針にあらがった。最終的に打率2割9分、18本塁打で新人王を獲得したが、苦い記憶は指揮官の信念に大きな影響を与えている。

岡田監督 力があれば当然、最初から使う。

第1次政権初年度の04年はルーキー鳥谷の起用にこだわった。今回も似たような流れが予想される。

新監督のイメージはDeNA牧だ。中大で森下の2学年上にあたる横浜の主砲は1年目の21年、打率3割1分4厘、22本塁打、71打点で周囲を驚かせている。

岡田監督 (森下は)広角に打てる。牧選手があんだけ打ってたら、もっと打てるんじゃと思う。牧選手は強引じゃなく柔軟性のある打ち方。森下選手にもそういうのを期待してます。

そこまで高評価を並べられて、本人が燃えないわけがない。

森下 自分もスタメンを勝ち取ってクリーンアップを打つ覚悟はできている。3割、25本塁打以上を打てれば新人王も視野に入る。

目をギラつかせる22歳を横目に、64歳の新指揮官はニヤリだ。「甲子園で25本はちょっとしんどいかも分からないね。20本くらいにしといたら?」と笑いを誘った後、ロマンあふれる夢をルーキーに授けた。

岡田監督 大山、佐藤輝でも二十何本ぐらいなんやから、その辺と競い合ってね。日本人で20本以上の3人がクリーンアップを打てるってなったら、そらもう、すごい戦力になる。

球団の日本人シーズン20発トリオは85年の掛布雅之40本、岡田彰布35本、真弓明信34本の1度しかない。森下が歴史を塗り替えるキーマンとなれば、虎の未来は明るい。【佐井陽介】

○…2軍監督に内定している和田豊テクニカルアドバイザー(60)が、早ければ23日から2軍戦の指揮を執る。近日中に会見を行い、若虎が汗を流すみやざきフェニックス・リーグに出発する。また、ヘッドコーチに内定している平田勝男2軍監督(63)は宮崎から帰阪し、24日から甲子園などで始まる秋季練習に参加する予定だ。

○…梅野が緻密な岡田野球を貪欲に学ぶ。新監督が就任会見で明かした「守りの野球」に関するコメントを記事などでチェック。「守りながらリズムを作る方が自分もいいと思う。『守り勝つ野球』は本当にむちゃくちゃ大事。そこを基盤にやっていけたら」と共感した。新指揮官が初めてナインと対面する24日からの秋季練習(甲子園など)にも参加予定。「『岡田野球』をしっかり少しでも早くつかみながら、チームが1つになって開幕を迎えられたら。そういう意味でもこのオフ大事にしていきたい」と引き締めた。

○…木浪がトレードで日本ハムに移籍が決まった斎藤にエールを送った。2人は社会人ホンダ時代のチームメートで、阪神同期入団だった。移籍が発表された日に自ら電話をかけたといい「最初はすごくビックリしました。ショックというか。でもお互いやることは変わらないので、友貴哉は友貴哉で向こうに溶け込んで頑張ってほしい」と話した。来季に向けては「この秋の練習とキャンプが大事になる。しっかりアピールできたら」と力を込めた。

○…原口が野手転向1年目を振り返った。今季は捕手から内野手に登録を変更。9月中旬からは「5番一塁」に定着し、持ち前の勝負強さを発揮してチームのAクラス入りに貢献した。「試合に入っていく流れだったり、そういったところはつかめたかなと思います」。岡田新監督は「一塁大山」「三塁佐藤輝」の固定を明言しており、原口は今季から挑戦していた外野に回る可能性もある。