阪神が来季の監督・コーチ陣容の一部を22日、発表した。

兵庫・西宮市の球団事務所で、和田豊2軍監督(60)が就任会見を行い、若手育成への決意を表明。1軍監督経験者が2軍で指揮を執るのは球団初となるが、その背景には岡田彰布監督(64)の一言があった。また、水口栄二打撃コーチ(53)、馬場敏史内野守備走塁コーチ(57)、嶋田宗彦バッテリーコーチ(60)も会見に臨んだ。

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和田2軍監督が異例の現場復帰に燃えていた。「タイガースでは前例がないと聞いているんですが、7年間があるので、私にとっては最高のポジションに就かせていただいたな、とそういう思いです」。1軍監督経験者が2軍監督に就任するのは球団初だ。会見では金色のネクタイを締め、「平田イズムを継承しながら、岡田監督の考えをいち早くチームに浸透させる。それがまず私がやるべき役割だと思っております」と意気込んだ。

現場復帰の決め手は岡田監督の一言だった。直接、電話で話す機会があった。「いつまでネクタイしとんねん」。短い言葉に思いを受け取った。「よろしくお願いします」と即答。和田2軍監督は「多くを語る方ではないので、そのひと言で十分気持ちが伝わりました」と再びユニホームに袖を通す決意を固めた。

05年には打撃コーチとして岡田監督を支え、リーグ優勝に貢献。08年には大逆転でのV逸を守備走塁コーチで経験している。「喜びも苦しみも一緒に経験させていただきました。僕の中でも火がつきました」と指導者の情熱がよみがえった。

15年に1軍監督を退任し、その後はテクニカルアドバイザーなどを務め、選手発掘のために高校野球にも現場に足を運んだ。タイガースアカデミーでは特別顧問に就任し、野球少年も指導。「いい意味で、相当変わりましたね。1軍監督の時はどうしても『勝つんだ!』という気持ちがすごく勝っていた。やはり勝つためには、育成の大切さがある。7年間、無駄ではなかったというところを実践していきたい」。

23日からフェニックスリーグに合流し、さっそく指揮を執る。今季、2軍は平田新ヘッドコーチのもと、リーグ2連覇を達成。タテジマ一筋の和田2軍監督が育成路線を引き継ぎ、1軍に心技体そろった若虎を送り込む。【三宅ひとみ】

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