「村神様弾」で先勝ヤ!! 「SMBC日本シリーズ2022」が開幕し、史上最年少3冠王のヤクルト村上宗隆内野手(22)が、1点リードの8回先頭、オリックス平野佳から右翼席にシリーズ1号ソロをたたき込んだ。相手エースでパ・リーグ投手4冠の山本との「ほこ×たて対決」は1打数無安打1四球だったが、第4打席で勝負強さを発揮。球団初の2年連続日本一へ、チームも主砲もこれ以上ない好発進を決めた。

   ◇   ◇   ◇

困ったときの「村神様」ヤ!! 1点差に追い上げられた8回先頭。オリックス平野に対しフルカウントからの7球目、外角低め136キロフォークを捉えた村上の打球が、燕党の声援にも乗って右中間席に弾んだ。打った瞬間、本塁打を確信。バットをポーンと放り投げ、悠然とダイヤモンドを周回。ナインとハイタッチを交わすと「1点返されたあとだったので、すぐに取り返したかった。追加点を取ることができて良かったです」と喜んだ。

日本選手最多のシーズン56本塁打を放ち、史上最年少で3冠王に輝いたスラッガーと、2年連続でパ・リーグ「投手4冠」を獲得した本格右腕。究極の「ほこたて対決」で開幕した熱戦に自ら終止符を打った。シーズン同様に終盤で勝負強さを発揮。今季は第4打席で106打数35安打の打率3割3分。ヒット35本のうち、実に14本が本塁打だった。最高峰の戦いでも不変だった。

山本に対しては第1打席でストレートの四球を選んでチャンスを拡大。次打者オスナの先制2点適時二塁打につなげていた。開幕前から「見ての通り、誰もが認める日本のエースだと思います。日本シリーズという最高の舞台で戦えることがすごく光栄です」と意識していた。昨年の日本シリーズでは7打数1安打4三振。過去の交流戦を合わせても通算9打数1安打の打率1割1分1厘、5三振、0本塁打と数字は良くない。だが「それは関係ない。本当に打ちたいと思ってるので」とデータは意識せずに対決に臨んだ。

高津監督が「(走者を)かえすことはもちろん、つなぐこと、出塁すること、すべてにおいて得点に絡むことを非常に期待しています」と望んだ通り、きっちり得点に絡み、勝利に貢献した。「フォア・ザ・チーム」を第一に掲げる主砲。自身の1発はもちろん、チームの勝利が何よりの喜びとなった。【鈴木正章】

▼村上が今シリーズ1号。昨年は<1>、<5>戦で本塁打を打っており、2年以上続けてシリーズ<1>戦で本塁打は57、58年豊田(西鉄)68、69年長嶋(巨人)76、77年王(巨人)90~92年デストラーデ(西武)10、11年和田(中日)に次いで6人目になる。その年の公式戦3冠王が本塁打は65年野村(南海)73年王(巨人)85年バース(阪神)に次いで4人目。いきなり<1>戦で本塁打したのは85年バースに次いで2人目だ。これで今季の村上は公式戦56本、CS1本、シリーズ1本の通算58本。ポストシーズンを含むシーズン58本は85年バースらの57本を抜き、公式戦で60本の13年バレンティン(ヤクルト)に次いで2位となった。

▼昨年と同じカードとなったシリーズ<1>戦はヤクルトが5-3で勝利。昨年は1点差5試合、2点差1試合で、昨年から2点差以内の接戦が続いている。ヤクルトの<1>戦勝利は92、93、95、97、01年に次いで6度目。過去72度のシリーズで先勝チーム(△○を含む)は45度優勝し、V確率は63%。ヤクルトは<1>戦に勝利した過去5度のうち92年を除いた4度が日本一になっており、プロ野球史上初となる「最下位から2年連続日本一」へ向けて好発進した。

▽ヤクルト高津監督(試合前に選手たちに) ここまで来たら、一番てっぺんに登ろうと話をしました。(山本攻略は)塩見のホームラン、オスナのホームラン、長打がよく効いたゲームだったと思います。

○…救援陣が昨年の日本シリーズ初戦の悪夢を振り切った。エース小川が5回で降板すると、6回を木沢、7回を田口が無失点。清水が8回に1点を失ったが、9回はマクガフがピンチを背負いながら踏ん張った。昨年の第1戦ではマクガフが3失点でサヨナラ負けを喫したが、今年は勝利をもたらした。

【関連記事】ヤクルトニュース一覧